2026-09-01/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
KDDI、フードデリバリー「menu」を9月30日で終了 運営会社は解散・清算へ
KDDI株式会社は2026年8月19日、フードデリバリーサービス「menu」を2026年9月30日をもって終了すると発表した。「menu」は株式会社レアゾン・ホールディングスとの共同運営体制で提供してきた。レアゾンが保有する運営会社menu株式会社の全株式を、KDDIが2026年8月31日付で取得して完全子会社化したうえで、同社を解散・清算する。menu株式会社の資本金は1億円。株式取得の金額は非開示。
青果卸「有津川」、破産手続開始決定 負債は約11億9千万円の見込み
青森県板柳町の青果物卸「有津川」(荒島揚太郎社長、設立1963年8月、2006年7月に愛知県蒲郡市から本店を移転)は2026年6月23日、従業員6人全員を解雇して事業を停止し、2026年8月20日付で青森地裁五所川原支部から破産手続開始決定を受けた。負債総額は約11億9千万円の見込み。ピーク時(1992年7月期)の売上高は約33億3800万円だった。破産管財人(熨斗佑城弁護士、青森市)は要因としてリンゴの不作や仕入れ価格高騰を挙げたと、決定後の報道で伝えられた。
電通グループ、中期経営計画の達成年度を1年先送り
株式会社電通グループは2026年8月14日、2025〜2027年度としていた中期経営計画を、2026〜2028年度の計画として再設計すると発表した。「赤字マーケット*ゼロ」の達成目標を2026年度から2027年度に、全4リージョンが株主価値向上に貢献する目標を2027年度から2028年度に、それぞれ1年先送りした。グローバル本社コストは2028年度までに30%程度(2026年度計画比)削減する計画とし、3年間で450億円としていた重点領域への投資枠・選択的M&Aの方針は「M&Aは当面抑制的に検討」に切り替えた。海外事業法人数は2026年度に70〜80社程度、2028年度までにさらに50〜80社程度の削減を見込む。2021年1月時点で1,000社超あった海外法人数は、2026年1月時点で半減していた。
*赤字マーケット=2025年2月時点の累計投下資本が100億円を超えるマーケットのうち、赤字となっているもの。
② 当時、それはどう見えていたか
KDDIの公表文が挙げる終了理由は「フードデリバリー市場を取り巻く競争環境の変化や今後の事業見通しを総合的に検討した結果、経営資源の最適配分の観点から」というもので、市場環境の具体的な数値や競合状況への言及はない。
有津川は2005年、民事再生法(会社を存続させながら債務を圧縮する法的整理手続き)の適用を申請し、約14億5千万円の負債を抱えて一度倒産、2010年1月に再生手続を終えていた。ここまでは決定前から公表・報道されていた沿革。破産管財人によるリンゴの不作・仕入れ価格高騰という直近の要因説明は、破産手続開始決定後の報道によるもので、決定前の公表資料としては確認できませんでした。
電通グループは2025年発表の中期経営計画で、2027年度に350〜500億円のコスト削減、3年間450億円の重点マーケット・重点領域への投資、業績回復に応じた選択的なM&Aを掲げていた。2026年8月時点では、2027年度に500億円超のコスト削減達成が見込まれること、2025年度に中国・オーストラリアで調整後営業利益ベースの黒字化を達成したこと、日本が13四半期連続の成長を続けていることが、同じ資料で報告されている。一方、米州のオーガニック成長率は2026年1〜6月期で前年同期比マイナス5.0%、一部マーケットでは2026年度も赤字が見込まれるとされている。
③ 構造として残るもの
法的整理による負債の圧縮は、過去の負債を軽くする措置であり、その後に働く外部要因への耐性を新たに作るものではない。圧縮を終えた時点の事業構造が元のままなら、原料価格や天候といった同種の要因が再び働いたとき、一度目と同じか、それ以上の負荷がかかる。二度目の局面では圧縮する対象の負債総額自体が一度目より小さく、再建の選択肢は狭まりやすい。仕入れ価格や天候の変動を受ける事業を持つ会社にとって、一度の法的整理を再建の終点にせず、再建後にその変動へどう備えるかは、規模によらず確かめられる点になる。