2026-09-06/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
任天堂、「マリオカート ツアー」を9月30日で終了 サービス開始から約7年
任天堂は2026年7月8日、スマートフォン向けアプリ「マリオカート ツアー」のサービスを2026年9月30日15時(日本時間)に終了すると発表した。サービス開始は2019年9月25日で、終了までは約7年。有償で購入し未使用のルビー(ゲーム内通貨)は資金決済法に基づき払い戻しの対象になり、無償付与分は対象外とされた。過去の記録は2027年1月13日まで、全カップのランキングは2027年9月30日まで閲覧できる見込み。
米Charge Enterprises、外骨格ロボット事業を売却対象に分類 従業員57人・売上比0.5%
米Charge Enterprises(Nasdaq: CRGE)の取締役会は2026年5月29日、傘下のLegacy Ekso Business(旧Ekso Bionics、外骨格ロボット製品の開発・販売)を売却対象(held for sale)に分類し、Cloud Businessに経営資源を集中する方針を決定したと、2026年5月31日期のForm 10-Kで開示した。Legacy Eksoの従業員は正社員約53人・パートタイム4人で計57人。同事業年度の総売上高に占めるCloud Businessの比率は約99.5%で、Legacy Eksoは残り約0.5%。売却完了は2027会計年度中の見込み。
コンビニ3店の美志、福岡地裁が破産手続開始決定 負債4,900万円
福岡県筑紫野市の株式会社美志は、太宰府市・大野城市・筑前町でファミリーマートのフランチャイズ店舗計3店を経営していた。2026年8月18日、福岡地方裁判所から破産手続開始決定を受けた。負債総額は約4,900万円。設立は2019年4月で、2023年5月までに全店舗の営業を停止しており、営業停止から破産手続開始決定までは約3年。破産管財人は倉本啓史弁護士。
英Trellus Health、適時開示から3か月半でadministration入り
英国のTrellus Health plc(ロンドン証券取引所AIM上場、会社番号12743489、事業内容は登記上「業務用および家庭用ソフトウェアの開発」)は、2026年8月21日に管財人選任予告(Notice of intention to appoint Administrators)を、8月24日に管財人選任(Appointment of Administrators)とNomad(指定助言者)辞任を公表した。管財人はPaul Zalkin・Tom Parish(Quantuma Advisory Limited)。株式取引停止は2026年5月8日で、管財人選任までは約3か月半。2026年3月時点の月間キャッシュバーンは約30万ドルに圧縮されていた。
KDDI、ISP向けメールシステムに不正アクセス メールアドレス1,223万件・パスワード762万件
KDDIは2026年6月23日、ISP事業者向けに提供するメールシステムへの不正アクセスを確認したと公表した。2026年7月6日(7月21日更新)の続報で、電子メールアドレス12,231,954件、うちパスワード7,616,173件の漏えいを確認したと発表した。不正アクセスは2026年5月16日から発生しており、KDDIが確認したのは6月17日だった。対象はSTNet、KDDIウェブコミュニケーションズ、JCOM、中部テレコミュニケーション、ニフティ、ビッグローブの6社。
九州電力送配電、バックアップ用外部記憶媒体が所在不明 顧客情報最大1,090万口分
九州電力送配電は2026年6月8日、システムのバックアップ用外部記憶媒体がサーバー室のキャビネットから所在不明になっていたと公表した。4月27日の保管確認後、5月26日の定期バックアップ準備時に媒体が無いことが判明した。対象は最大1,090万口分の顧客情報で、保管確認から判明までは約1か月。2026年7月8日には経済産業省から報告徴収を受けたことをあわせて公表した。
OpenAI、ChatGPTとCodexでエラー増加 9月3日に約2時間12分で復旧
OpenAIは公式ステータスページで、2026年9月3日、ChatGPTとCodexでエラーが増加する障害が発生し復旧したと公表した。ページの表示では14:43に調査開始、15:17に軽減策を適用、16:55に解決としている。対象はChatGPT関連15コンポーネント、Codex関連4コンポーネントの計19。Codexのリモートコントロール利用者は、復旧後にモバイル端末の再ペアリングが必要な場合があるとされた。
② 当時、それはどう見えていたか
任天堂の発表には、終了理由の記載はありません。ゴールドパスの新規加入・自動更新は発表日の2026年7月8日付で停止し、既存加入者は終了まで特典を維持する一方、2026年8月5日以降は全プレイヤーが主要機能を利用できる措置がとられました。
Charge Enterprisesについては、具体的な資産・負債の帳簿価額や減損損失額は、参照した範囲のForm 10-K本文に記載がなく、当時の材料は確認できませんでした。
美志については、営業停止の理由として同業他店との競合が続き販売不振が長期化していたことが報じられています。営業停止後、事業再開には至りませんでした。
Trellus Healthについては、2026年5月8日付の適時開示で、資金繰りの不確実性を理由に株式取引を停止すると公表していました。同開示では、人件費削減とベンダー契約再交渉で資金繰りを6月中旬まで延長したこと、米国子会社Trellus Health Inc.の売却を含む選択肢を検討していること、Alumni Capital LLCによる転換社債枠が市場環境の制約で十分に活用できていないことが記載されていました。
KDDIについては、初報(6月23日)の時点で、対象は「最大1,422万件」という調査継続中の暫定値として公表されていました。原因はメールシステムに導入していた第三者製ソフトウェアの脆弱性で、KDDIが確認した6月17日時点ではソフトウェアベンダー側も把握していなかった脆弱性だったとKDDIは説明しています。
九州電力送配電については、6月8日の公表時点で、情報の外部への流出は確認されていないとしていました。原因として、バックアップシステムの容量逼迫を理由に外部記憶媒体を一時的に使用していたこと、その媒体を保管していたキャビネットを施錠していなかったことを挙げています。7月8日の続報では、同一住所での転出入や名義変更等を考慮した対象件数の精査を進めているとしました。
OpenAIについては、当時の材料は確認できませんでした。原因はステータスページに記載がなく、本稿執筆時点で非開示です。
③ 構造として残るもの
KDDIは初報の時点で対象を「最大1,422万件」という暫定値として公表し、その後の調査で1,223万件に確定しました。九州電力送配電は「最大1,090万口分」の顧客情報が対象と公表した後も、同一住所での転出入や名義変更等を考慮した精査を続けています。障害・事故の公表は、発生直後にまず把握できた範囲の数字を出し、調査の進行にあわせて数字が動くという経過をたどります。
自社で障害や情報漏えいが起きた場合、最初に出す数字が確定値なのか調査継続中の暫定値なのかを、公表文のどこにどう書くかは、対外説明の設計として問われます。数人の会社であれば、最初に出す数字と後日の数字の説明を同じ担当者が一貫して行えますが、数十人になると初報を出した人と後日の精査を担当する人が分かれ、両者の数字の違いを説明する役割が誰にもないまま公表が続くことがあります。自社が障害を公表する際、暫定値であることを明示する書き方になっているかを確かめる余地は残ります。