2026-09-07/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
Google、Gemini APIのImagen 4系列モデルを8月17日付で廃止
Googleは2026年6月15日、Gemini APIのImagen 4系列モデル(imagen-4.0-generate-001、imagen-4.0-ultra-generate-001、imagen-4.0-fast-generate-001)の廃止を予告し、2026年8月17日付で同モデルへのアクセスを停止した。予告から提供終了までは約2カ月だった。
決済代行の全東信、大阪地裁が破産手続開始決定 負債総額1151億6400万円
クレジットカード決済代行会社の全東信(大阪、主業務は決済代行「早期立替払い」、2018年時点の加盟店約20万店)は、2026年7月6日付で大阪地裁から破産手続開始決定を受けた。破産管財人には印藤弘二弁護士が選任された。申立時の負債総額は約1,151億6,400万円。決算修正後は約605億円の債務超過だったことが後に判明している。加盟店約2万店で入金が滞り、滞留額は50億円以上に上る。
英TX HUB LTD、管財人選任でadministration入り
英国のテイクアウト食品店運営会社TX HUB LTD(会社番号12877241、2020年9月13日設立)は、BTG Begbies Traynor(London)LLPの管財人選任を受け、2026年8月10日付でadministration(管財人管理)入りした。Companies Houseへの届出(AM01)は同年8月25日付。設立からadministration入りまでは約6年だった。
高知工科大学、教員のPC紛失で418件分漏えいの可能性
高知工科大学は2026年6月9日、教員が個人情報を含むノートパソコンを紛失し、個人情報漏洩の可能性があると公表した。紛失は同年5月下旬の早朝、県外出張で利用した列車内で発生した。メールサーバーの通信ログから「漏洩した可能性のある対象」として特定されたのは、メールアドレス・氏名等418件(同大学の学生47名分を含む)。
ニチレイ、システム障害で冷凍食品出荷11日間停止
ニチレイグループは2026年7月13日、不正アクセスによるシステム障害で、ニチレイロジグループ各社の冷蔵倉庫における入出庫業務と、ニチレイフーズの冷凍食品出荷業務が停止したと公表した。顧客・取引先への受発注制限は同年7月24日に解除され、全拠点が通常稼働に移行した。制限期間は7月13日から7月24日までの11日間。攻撃を受けたサーバーの一部に従業員の個人情報が保管されており、漏えいのおそれがあるとされたが、対象人数は各報とも未公表。
② 当時、それはどう見えていたか
Google Imagen 4系列について、2026年6月15日付の廃止予告は公式チェンジログに明記されており、8月17日の提供終了に先立って公開されていました。移行先として案内されたのは「新しい安定版・プレビュー版エンドポイント」で、個別の後継モデル名は明示されていませんでした。
全東信について、2024年1月に東京支社の営業本部長が私電磁的記録不正作出・同供用容疑で逮捕された後、当時の副社長が実施した社内調査では、本部長担当の加盟店955店舗を点検し、923店舗は「問題なし」、32店舗は「申込書の内容と運営実態の一致を確認できなかった」とされていました。報告書は「新規加盟店獲得を重視する企業風土があった」と結論づけ、後に判明した預金残高水増し約170億円、架空債権約154億円などの計上には言及していませんでした。
TX HUBについて、当時の材料は確認できませんでした。Companies Houseの登記情報からは、確認報告書と全額免除会計報告書(最終は2024年12月期決算分)の定期提出以外、財務悪化を示す事前の届出は確認できません。
高知工科大学について、公表文によれば、当該PCはOSログインにパスワードを設定しておらず、第三者が起動・操作可能な状態でした。業務に使用する主要データは外付けSSDに保存されており、PC本体には保存されていませんでした。紛失判明と同日にアカウントのパスワードを変更し、紛失時間以降の不審なアクセスは確認されていないとしています。
ニチレイについて、発生当日の第1報(7月13日)では原因は調査中とされ、「個人情報や顧客データが社外へ流出した事実は確認されていない」としていました。第6報(8月14日)に至っても、不正アクセスの侵入経路など原因の詳細は公表されていません。
③ 構造として残るもの
全東信の社内調査は、逮捕された本部長が担当していた加盟店955店舗を個別に点検する設計でした。923店舗を「問題なし」、32店舗を「一致を確認できなかった」と分類し、この点検は決算全体の数字を疑う設計にはなっておらず、後に判明した預金残高水増し・架空債権の計上には接続しませんでした。高知工科大学の事案では、業務に使う主要データを外付けSSDに分離して保存する運用があった一方、漏洩の可能性がある対象はメールサーバーの通信ログという別経路から特定されています。
点検や保護の対象をどこに設定するかと、実際に何かが起きたときにどの経路から確認が及ぶかは、別の設計判断です。数人の会社であれば、データの保管方法を決めた人と、事故発生時に確認作業をする人が同じであることが多く、両者のずれに気づきやすくなります。数十人になると、保管方針を決めた人と、事故対応で実際にログを見る人が分かれ、点検の対象外だった経路から問題が見つかっても、それが点検設計の見落としだったと振り返る機会がないまま処理されることがあります。自社の情報管理で、守っている対象と、実際に確認が及ぶ経路が一致しているかを確かめる余地は残ります。