2026-09-27/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
米Cardlytics、Bridg事業をPAR Technologyに売却 対価は株式で最大3,000万ドル
米Cardlytics, Inc.は2026年1月23日、広告プラットフォーム「Bridg」関連資産をPAR Technology Corporation傘下のDB Sub, LLCに売却する資産購入契約を締結した。取引は2026年3月24日に完了した。対価はPAR Technology株式で支払われ、基本額は2,750万ドル。新規顧客契約の獲得状況により上限3,000万ドルまで増減する。株式数はPAR株式の直近15営業日の出来高加重平均株価で算定する。Cardlyticsは5年間の競業避止義務を負う。
医療検体輸送のメディトランセ、コロナ補助金返還命令から3年で破産
株式会社メディトランセ(東京都新宿区、設立2011年7月)は2026年9月9日、東京地裁より破産手続開始決定を受けた。破産管財人は佐野周造弁護士。債権届出期間は10月7日まで。2022年6月期の年間売上高は約8億5,500万円。負債額は調査中。
英国の絨毯製造Leigh Spinners、マンチェスターの裁判所でadministration入り
英ランカシャー州リー(Leigh)の絨毯・ラグ製造業者Leigh Spinners Limitedは2026年9月24日、Manchester Business and Property Courts(事件番号CR-2026-MAN-001339)の決定により、BDO LLPのKerry Bailey氏・Chris Skey氏がadministrator(管財人)に選任された。負債額・従業員数は通知に記載がない。
米Astrana Health、なりすまし電話で社内情報にアクセスされたと公表
米国の医療マネジメントサービス企業Astrana Health, Inc.は2026年9月22日付でSEC(米証券取引委員会)に8-K(臨時報告書)Item 1.05(重大なサイバーセキュリティインシデント)を提出し、社員および本社代表電話番号になりすました脅威者からの働きかけにより、機密情報にアクセスまたは取得された可能性があると公表した。対象範囲・件数は未確定で、同社は影響の全容を見積もることができないとしている。漏えいの可能性がある情報として、患者情報、従業員情報、医療資格者情報、機密の事業・財務情報、知的財産を列挙した。
まんだらけ、不正アクセスで一部顧客情報の漏えいの可能性
株式会社まんだらけは2026年8月27日23時ごろに自社サーバーへの不正アクセスを確認し、8月30日、2026年8月28日午前6時までに注文した顧客について氏名・住所・電話番号・メールアドレスが漏えいした可能性があると公表した。クレジットカード情報と会員パスワードの漏えいは確認されていないとした。対象件数は未確定。
アドバンスクリエイト、通期純利益予想を赤字3億91百万円に修正 継続企業の前提に疑義
株式会社アドバンスクリエイト(8798、東証プライム・福証・札証)は2026年9月18日、2026年9月期(2025年10月〜2026年9月)の連結業績予想を修正し、同日公表の第3四半期決算短信に継続企業の前提(=会社が事業を継続できるかどうかについての前提)に関する重要な疑義がある旨を記載した。過年度の広告取引・ソフトウェア資産計上をめぐり不適切な会計処理が行われていた疑義が発覚し、第三者委員会が調査を実施、2026年7月31日付で調査報告書を受領していた。
修正後の通期予想は、売上高71億54百万円、営業利益4億23百万円、経常利益3億19百万円、親会社株主に帰属する当期純利益は3億91百万円の損失(1株当たり利益は5.23円の損失)。第3四半期累計の実績は、営業損失2億71百万9千円、経常損失3億40百万9千円、親会社株主に帰属する四半期純損失7億68百万7千円で、四半期末で2億76百万5千円の債務超過。特別損失として調査費用2億74百万5千円等を計上した。
② 当時、それはどう見えていたか
Cardlyticsについて、この契約の3か月前、2025年10月2日付の8-K(米証券取引委員会への適時開示書類)で、全従業員の約24%にあたる約90人の人員削減を公表していた。削減に伴う一時費用は約230万ドルで、2025年12月31日までにほぼ完了する予定とされていた。
メディトランセについて、2023年5月、東京都が同社に対し新型コロナ無料PCR検査事業の補助金について交付決定取り消し(約23億円)と返還命令(約13億円)を行ったと公表していた。他の複数自治体からも交付取り消し・返還請求があった。
Leigh Spinnersについて、当時の材料は確認できませんでした。
Astrana Healthについて、当時の材料は確認できませんでした。
まんだらけについて、当時の材料は確認できませんでした。
アドバンスクリエイトについて、2026年8月14日付で、過年度の有価証券報告書等の訂正報告書提出と、特別損益の計上見込み(約524百万円)を公表済みだった。2025年11月14日には前回の通期業績予想を公表していたが、その具体的な内容は本紙で一次確認できず、決算短信では「直近に公表されている業績予想からの修正の有無:有」との記載のみ確認できた。
③ 構造として残るもの
メディトランセは、東京都からの補助金返還命令(約13億円、2023年5月公表)から、破産手続開始決定(2026年9月)まで3年強の期間があった。アドバンスクリエイトは、過年度の会計処理をめぐる疑義の発覚から、有価証券報告書の訂正、特別損失の計上、業績予想の下方修正、継続企業の前提に関する疑義の記載まで、2026年だけでも複数回に分けて公表を重ねた。
行政処分や会計処理の疑義は、公表された時点で、資金繰りや業績への影響がすべて数字に反映されているとは限らない。影響が実際の決算や倒産に表れるまで、年単位の期間が空くことがある。
数人の会社では、行政からの指摘や会計上の疑義が出れば、資金繰りへの影響を代表者がその場で把握できる。数十人になり、複数の許認可事業や複数年度にまたがる決算処理を抱えるようになると、公表された処分・訂正が、その後どの決算期にどこまで反映されるかを追い続ける必要が生まれる。取引先や同業他社の行政処分・会計訂正の公表を見た時点の数字だけで判断せず、その後の決算でどう反映されていくかを確かめておくことが、読者自身の資金繰り管理にも当てはまる。