2026-10-09/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
米Azenta、マルチオミクス事業の北米ラボ3拠点を閉鎖 資産減損900万ドル
米ナスダック上場のAzenta, Inc.(バイオサンプル管理・マルチオミクス事業)は、2026年10月5日の取締役会でマルチオミクス事業の再編を承認した。北米のラボ拠点3カ所を閉鎖し、人員削減を実施する。対象従業員への通知は10月6日に開始された。10月7日付でSEC(米証券取引委員会)にForm 8-K(臨時報告書に相当する開示書類、Item 2.05・2.06・9.01)を提出した。税前チャージ合計は1,100万〜1,300万ドルで、うち資産減損(資産の帳簿価額を実際の価値に合わせて切り下げる会計処理)は主に閉鎖予定施設の使用権資産・造作にかかる約900万ドル、再編費用(退職費用等)は約300万ドル。今後の現金支出見込みは約700万ドル、完全実施後の年間コスト削減効果は約1,100万ドル。チャージの大半は2027年9月期に計上予定で、措置は2027年3月31日までに完了予定。
高級海苔弁当「いちのや」運営会社、破産手続き開始決定 負債8億7600万円
高級海苔弁当店「いちのや」を運営する株式会社いちのや(東京都中央区日本橋小伝馬町、代表・村瀬慶太郎氏、2021年5月設立)が、9月30日に東京地裁から破産手続き開始決定を受けた。債権者約38名に対し負債約8億7600万円。2026年5月期の年売上高は約4億5800万円だった。
米Teaspressa、Chapter 11を申請 コロナ後5店舗中4店舗を閉鎖
米アリゾナ州でティー・コーヒー飲料店を展開するTeaspressa(法人名My Little Tea Kettle LLC、創業者Allison DeVane氏)が、9月11日、米アリゾナ州破産裁判所にChapter 11(米連邦破産法第11章、事業を継続しながら再建を図る手続き)のSubchapter V(中小企業向け簡易再建手続き)を申請した。再建対象の負債は約300万ドル。申請書上の資産は5万1,001〜10万ドル、負債は100万1〜1,000万ドルの範囲で、推定債権者は50〜99名。管理費支払後に無担保債権者へ残る資金はないと申請書に記載されている。
九州電力送配電、外部記憶媒体の所在不明で経産省が指導 対象最大1,090万口分
九州電力送配電は2026年6月8日、一部システムのバックアップ用外部記憶媒体がサーバ室の保管場所から所在不明になっていると公表した。経済産業省は同日付で報告徴収を行い、同社は7月8日に報告し、経産省は同日、再発防止策の着実な実施を求める指導を行った。対象は最大1,090万口分。保存されていた情報は需要者名、供給場所住所、使用電力量データ、電話番号、小売電気事業者名など(銀行口座・クレジットカード情報は含まれないとしている)。7月8日時点で社外への流出は確認されていない。
ニデック、2021年3月期から5期分の決算を修正 純資産4,769億円減少
ニデック株式会社(証券コード6594)は2026年10月1日、2021年3月期から2025年3月期までの5期分の決算について、不適切な会計処理の修正再表示を発表した。同日、2026年3月期の決算と2027年3月期の業績見通しも公表した。新社長(戒田理夫氏、2026年9月29日付就任)のもとでの説明資料として示された。修正額は5期累計で2,080億円(営業利益の修正再表示累計額は4,373億円)。2025年3月期末の純資産は修正前と比べて4,769億円減少した。2025年度(2026年3月期)の減損損失は合計6,321億円(ACIM=家電・商業・産業用事業2,988億円、NPe=NIDEC PSA EMOTORS SAS1,163億円、NMOJ=NIDEC MOBILITY CORPORATION731億円)。自己資本比率は2025年3月期が修正前51.8%から修正後42.5%、2026年3月期は25.6%(前期比16.9ポイント減少)。
米Gulf Resources、所有権証明のない建物の資産区分を2025年3月期分から修正 固定資産8,633万4,658ドル
中国・山東省で臭素・化学品を製造し米ナスダックに上場するGulf Resources, Inc.(ティッカー:GURE)が、2026年6月4日付のForm 8-K(Item 4.02、過去に発行した財務諸表に依拠すべきでないと表明する開示項目)で、2024年度のForm 10-Kと2025年第1〜第3四半期のForm 10-Qに依拠すべきでないと発表した。2026年9月29日に10-K/A(年次報告書の訂正版)、9月30日に10-Q/A(四半期報告書の訂正版、2025年3月期・6月期・2026年3月期分)を提出した。訂正後の2025年3月31日時点の固定資産(PP&E)純額は8,633万4,658ドル、ファイナンスリース使用権資産(ASC842に基づき、借りている資産を使う権利を資産として計上したもの)は4,444万4,784ドル、ファイナンスリース負債合計は537万6,093ドル、株主資本合計は1億4,167万6,957ドルだった。
② 当時、それはどう見えていたか
Azentaについて、当時の材料は確認できませんでした。8-K本文には、再編承認に至った経緯や事前の業績動向についての記載がない。
いちのやについて、出店に伴う資金負担と仕入れ価格・人件費の高騰、競合の激化で資金繰りが悪化し、取引先への支払いが滞って一部は訴訟に発展していた。2024年9月に米穀卸業者の傘下に入り経営体制を一新し、不採算店舗を閉鎖していた。2026年7月31日には主力の靖国通り本店を閉店していた。
Teaspressaについて、新型コロナウイルスの流行で5店舗中4店舗が閉鎖し、フェニックスの1店舗のみが残っていたこと、テレビ番組「Shark Tank」出演で売上が一時伸びたことは公表されていた。申請直前の経営状況についての当時の公表資料は確認できませんでした。
九州電力送配電について、所在不明になった媒体は、一部システムのバックアップ容量が逼迫したため一時的に使用していたもので、施錠されていないサーバ室のキャビネットに保管されていた。委託先の監督状況についての記載は公表文にない。
ニデックについて、説明資料は、減損に至った内部要因として過去の経営方針を3点挙げている。「規模拡大の追求」(事業の全方位での拡大志向)、「画一的な業績管理」(全事業で一律のKPIを比較)、「短期業績重視の経営」(資産効率よりも収益を優先した業績評価)。当時の中期経営計画の具体的な数値目標(売上高・ROICなど)は、今回の資料に記載がなく確認できませんでした。
Gulf Resourcesについて、建物が立つ土地は地元の町が集団所有しており、同社は土地使用権証明書を取得できず、その結果として建物の所有権証明も取得できていないと説明されている。建物(取得原価6,449万648ドル、2025年3月31日時点)はファイナンスリースの使用権資産として計上されている。修正前の10-K・10-Qでこの建物をどう説明していたかは、今回確認した資料に記載がなく確認できませんでした。
③ 構造として残るもの
いちのやは、傘下入りによる経営体制の一新と不採算店舗の閉鎖という対応を取った後に、破産手続き開始決定を受けた。Teaspressaは、コロナ下での店舗閉鎖とテレビ出演による一時的な売上増という対応を取った後に、Chapter 11を申請した。
店舗の閉鎖には、賃貸契約の解約、原状回復、在庫処分にかかる費用が発生する。閉鎖によって毎月の固定費は下がるが、閉鎖にかかる一時費用はその時点でまとめて発生する。経営者が確認できる点は、縮小策を実施する際に、削減される固定費の額と、縮小の実施にかかる一時費用の額を分けて見ているかどうか。