2026-10-11/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
コーセーHD、希望退職の募集約80人に199人応募 特別損失は約25億円
株式会社コーセーホールディングスは、2026年10月9日、連結子会社の株式会社コーセーおよびコーセー化粧品販売株式会社が実施した希望退職施策(従業員が自ら募集に応じて退職する制度)「特別ライフチャレンジ」(募集期間2026年9月1日〜9月15日)の結果を公表した。募集人員は約80名、応募者数は199名だった。退職日は2027年1月31日。特別損失(本来の事業活動以外から生じる損失)は約25億円で、2026年12月期第3四半期の連結決算に計上する。不動産売却額は約33億円、これに伴う固定資産売却益は約26億円で、特別損失と相殺される見込み。2026年2月12日公表の通期連結業績予想の修正はないとしている。
生ドーナツ「PIECE OF BAKE」全店休業、代表が破産準備を自身のSNSで発表
生ドーナツ専門店「PIECE OF BAKE」を運営する株式会社Yorkys Entertainment(兵庫県、2014年創業)が、2026年10月6日、公式Instagramで全店舗休業を発表した。翌10月7日、板倉洋輔代表取締役が自身のInstagramで事業停止と破産申立ての準備に入ったことを発表した。推定負債総額は3億5,000万円(帝国データバンク調べ)。
富山の金型メーカー石崎製作所、売上ピーク比4割減で事業停止
金型・金型部品製造の株式会社石崎製作所(富山県魚津市、1974年創業)が、2026年9月30日までに事業を停止し、自己破産申請の準備に入った。負債総額は約2億3,000万円で、大半が金融債務。売上高は2019年5月期の約2億円強から2026年5月期は約1億2,000万円まで、ピーク比約4割減となっていた。
米Shark Tank出演ブランドTeaspressa、Chapter 11を申請
米アリゾナ州フェニックスの紅茶ブランド「Teaspressa」を運営するMy Little Tea Kettle LLC(オーナー:Allison DeVane氏)が、2026年9月11日、米アリゾナ地区連邦破産裁判所にChapter 11(米連邦破産法第11章、事業を継続しながら再建を図る手続き、Subchapter V:中小企業向けの簡易再建手続き)の適用を申請した。申立書記載の資産は5万1ドル〜10万ドル、負債は100万1ドル〜1,000万ドル(うち再編対象の債務は約300万ドル)、債権者数は50〜99社。管理費用支払後、無担保債権者への配当は見込まれていないとされる。
千葉西総合病院、看護師が患者の映る動画をSNSで共有し3人が自宅待機
医療法人徳洲会千葉西総合病院(千葉県松戸市)で2026年10月5日夜間、看護師2人が患者が映り込んだ動画を撮影し、別の看護師を含む3人のグループ内で共有した。10月8日午後、グループ病院の職員からXへの投稿についての連絡で病院が把握し、同日第1報、10月9日に第2報を公表した。関係した職員は3人(撮影2人、閲覧のみ1人)で、全員自宅待機となっている。漏えいした患者の人数・情報項目は公表されていない。
アイルランドDPC、Children's Health Irelandの紙の医療記録管理にGDPR違反を認定
アイルランドのデータ保護委員会(DPC)は、タラハト大学病院内のChildren's Health Ireland(CHI)の施設で、子どもの医療記録の物理的な保管・管理がGDPR(EUの一般データ保護規則)第5条(1)(f)・第32条(1)に違反していたと認定する最終決定を、2026年9月10日にCHIへ通知し、2026年10月1日に公表した。2025年7月16日の無通告の現地調査で、勤務医の事務室の機密廃棄物ボックスから、子どもの機微情報を含む書類があふれ持ち出されていたことが判明していた。決定は戒告(reprimand)と是正命令。罰金の記載はない。是正命令への対応(DPIA=データ保護影響評価の完成版の提出)の期限は、決定通知から4週間以内。
② 当時、それはどう見えていたか
コーセーHDについて、施策自体は2026年8月6日に公表済みだった。対象は勤続5年以上、満45〜59歳の管理職・一般職、満60〜64歳の再雇用社員。優遇処置は所定の退職金に加えた割増加算金の支給と、希望者への最長1年間の再就職支援サービス。特別損失は不動産売却による固定資産売却益で相殺する設計が、結果公表と同時に示されていた。
PIECE OF BAKEについて、代表は「会社の存続に影響する重大な事案が社内で判明した」と述べたが、詳細は公表していない。出店費用などの借入が負担になっていたと報じられている。
石崎製作所について、物価高騰のもとで同業他社との価格競争が激化していたこと、工場設備の維持費・人件費など削減しにくい固定費が経営を圧迫していたことが報じられていた。
Teaspressaについて、Shark Tank出演時は出資契約は不成立だったが、放送後に売上が伸び注文が続いたと報じられていた。最盛期5店舗のうち新型コロナウイルス流行時に4店舗を閉鎖し、フェニックスの1店舗のみが残っていた。
千葉西総合病院について、当時の材料は確認できませんでした。動画撮影・SNS共有に関する院内規程の有無は、病院の発表に記載がありません。
CHIについて、2025年6月・7月にDPCへ寄せられた内部告発(protected disclosures)が、2025年8月11日の調査着手の契機になった。
③ 構造として残るもの
千葉西総合病院の事案は、職員個人のSNSを経由した流出だった。CHIの事案は、紙の医療記録と機密廃棄物の管理についてGDPR違反を問われた。どちらも、業務端末や記録システムの防御を固めるだけでは塞がらない経路で起きている。
記録を扱う会社が情報の扱いを点検する際、確認する範囲が業務システムのログイン管理やアクセス権限にとどまっているか、紙で残る文書の保管・廃棄の手順や、職員が業務外で記録に触れる場面(私物の端末・個人のSNSなど)まで含んでいるかで、点検の範囲が変わる。システムの外に出た記録は、システムの対策では見えない。