2026-10-20/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
ホテル運営受託のクレッセント、負債26億8,951万円で破産手続開始
ホテル運営受託業の株式会社クレッセント(東京都品川区、旧商号・株式会社HMJインターナショナル、2018年5月設立)が、2026年9月30日に東京地裁から破産手続開始決定を受けた。負債総額は債権者3名に対し約26億8,951万円。2023年12月期末時点の最終損失は約3億9,289万円、債務超過は約15億2,533万円に拡大していた。
出雲大社専属の写真館・独立軒写真場、負債約1億円で破産手続開始
出雲大社・出雲教北島國造館の専属写真館だった有限会社独立軒写真場(島根県出雲市大社町、1947年創業・1990年9月法人化)が、2026年10月9日に松江地裁から破産手続開始決定を受けた。負債総額は金融債務を中心に約1億円。
米石油・ガス持株会社NRF USA、資産5,000万〜1億ドルでChapter 11申請
米テキサス州ギディングスを拠点とする石油・ガスの持株会社・NRF USA, Inc.と、関連する債務者会社(Trivista Oil Co., LLC、Trivista Operating LLC)が、2026年10月9日、米テキサス州北部地区連邦破産裁判所にChapter 11(米連邦破産法第11章、事業継続を前提に再建を図る手続き)を申請した(事件番号26-80087)。申請書記載の資産は5,000万〜1億ドル、負債は1,000万〜5,000万ドル。無担保債権者への分配に充てられる資金が見込まれるとされる。
フジクラ、通期営業利益予想を3カ月で2,110億円から4,320億円に2回上方修正
フジクラ(証券コード5803)は、2026年5月14日公表の2027年3月期(今期)通期連結業績予想を、6月18日・8月7日の2回にわたり上方修正した。いずれも適時開示。連結営業利益の予想は、5月14日2,110億円→6月18日3,100億円(前回比+46.9%)→8月7日4,320億円(前回比+39.4%)。売上高は12,430億円→14,620億円(+17.6%)→17,550億円(+20.0%)。経常利益は2,180億円→3,160億円(+45.0%)→4,530億円(+43.4%)。親会社株主に帰属する当期純利益は1,560億円→2,290億円(+46.8%)→3,260億円(+42.4%)。
② 当時、それはどう見えていたか
クレッセントについて、設立当初から赤字が続き、2020年12月期は最終損失約2億1,119万円・債務超過約4億円だった。新型コロナウイルス感染拡大による宿泊需要の急減が、運営施設の休館・稼働率低下につながったとされる。運営予定だったホテルの建物所有者との間で訴訟が生じ、2023年12月期中に損害賠償の支払いを命じる判決が確定した(東京商工リサーチの調査として報じられている)。2023年10月に事業を停止した。
独立軒写真場について、同業他社との競争激化、スマートフォン普及による写真需要の構造変化、新型コロナウイルス禍での挙式件数の急減が背景として報じられている。2026年8月末に代表者が死去した。借入の膨張や設備・人員維持の負担が破産にどう影響したかは、記事では「定かではない」とされている。
NRF USAについて、当時の材料は確認できませんでした。申請に至った経緯・原因は出典記事に記載がありません。
フジクラについて、6月18日の修正理由として、情報通信事業で当初計画になかったハイパースケーラー(大規模クラウド事業者)からの光コンポーネント製品の受注、売価上昇、懸念されていた水素不足の影響緩和を挙げている。8月7日の修正理由としては、データセンター向け需要拡大を背景とした光コンポーネント製品の伸長と、その需要が継続する見込みを挙げている。
③ 構造として残るもの
クレッセントは施設の所有者からホテル運営だけを任される業態で、独立軒写真場は出雲大社という特定の相手先に専属する業態だった。どちらも、特定の相手・特定の施設に紐づく契約が収益の土台になっている。
その契約の外側で需要そのものが変わる、あるいは一時的に消える局面(新型コロナウイルス禍による急減、写真需要のデジタル化による構造変化)が来ると、契約自体は続いていても、固定費に対する収益が合わなくなる期間が生じる。専属・受託という契約形態は、相手先との関係を安定させる一方で、需要側の変化に対する備えにはならない。取引先・納入先が一社や一施設に集中している会社であれば、その先の需要がどこから来ているかを、契約の継続とは別に確かめられる。