2026-10-23/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
ニデック、非金融資産の減損6,321億円を追加計上、2026年3月期は最終赤字5,646億円
2026年9月30日、ニデック株式会社は延期していた2026年3月期(2025年4月〜2026年3月)の連結決算を公表した。非金融資産の減損損失632,135百万円(6,321億円)、契約損失引当金(将来の契約履行で生じる損失に備える引当金)22,496百万円(225億円)、仕入先からの求償請求に係る和解(争いを当事者間の合意で解決すること)に伴う債務4,207百万円(42億円)、特別調査費用等30,522百万円(305億円)を計上した。
減損損失の内訳は、SPMSセグメント19億円、AMECセグメント184億円、ACIMセグメント2,988億円、MOENセグメント1,163億円、機械事業本部セグメント70億円、グループ会社セグメント1,897億円。親会社の所有者に帰属する当期利益は△564,624百万円(5,646億円の赤字)。連結売上高は2兆7,087億円(前期比+3.9%)、連結営業損益は△5,190億円だった。
米Daktronics、アイルランド工場撤退など4施策でリストラ費用1,580万ドルを計上
2026年10月12日、米Daktronics, Inc.(屋外・屋内ディスプレイ製造、NASDAQ:DAKT)の取締役会は製造ネットワークの最適化施策を承認し、10月14日付でSEC(米証券取引委員会)に8-K(臨時報告書)を提出した。
施策は4つ。アイルランド・エニスティモン工場からの段階的撤退、米国・中国・メキシコの生産能力再編、香港・マカオ事務所閉鎖等を含む国際事業の簡素化、マイクロLED開発の縮小。非経常のリストラ関連費用は合計約1,580万ドル(アイルランド工場撤退1,350万ドル、生産能力再編100万ドル、国際事業簡素化20万ドル、マイクロLED開発縮小120万ドル)。年間ランレート削減見込みは合計1,800万ドル、アイルランド工場閉鎖完了の見込みは2028会計年度中盤。
Getty Images、事前協議型のChapter 11を申請、計画承認で既存株式は消滅
2026年10月21日、Getty Images Holdings, Inc.(米ワシントン州シアトル)と子会社6社(Getty Images, Inc./Griffey Midco (DE), LLC/Abe Investment Holdings, Inc./Getty Images (US), Inc./Getty Images News Services (PRC), Inc./Getty Images (Seattle), Inc.)は、米連邦破産法第11章(Chapter 11、再建型の手続き)の適用を米デラウェア州連邦破産裁判所に申請した。
10月12日付で主要株主および既存債務の一部保有者とRSA(Restructuring Support Agreement、再建支援契約)を締結済みで、事前協議型(prepackaged)の再建計画として、10月20日に計画への投票(solicitation)を開始していた。申請に伴い期限前弁済義務が発生した主な債務(元本ベース)は、ドル建てターム・ローン約4,010万ドル、ユーロ建てターム・ローン約4億700万ユーロ、リボルビング・ローン約1億5,000万ドル、11.250%担保付シニア・ノート(2030年満期)約5億3,990万ドル、14.000%シニア・ノート(2028年満期)約2億6,470万ドル、9.750%シニア・ノート(2027年満期)約530万ドル。一般無担保債権は、再建計画の影響を受けない債権に区分されている。申請と同時に提出された再建計画では、計画が確定した場合に既存株式がすべて消滅し、株主への分配はないとされている。
出雲の写真館「独立軒写真場」破産、負債約1億円
2026年10月9日、島根県出雲市の写真館「独立軒写真場」(1944年9月創業、1990年10月法人化)は、松江地裁出雲支部から破産手続開始決定を受けた。10月5日に事業を停止していた。出雲大社と出雲教北島國造館の結婚式場専属写真館として婚礼写真の撮影を手がけ、挙式・披露宴・衣装・宿泊・交通の手配を含むブライダルプランの提案も行っていた。
負債総額は約1億円。売上高は1998年9月期の1億4,000万円から、2025年8月期には2,800万円まで減少していた。
② 当時、それはどう見えていたか
ニデック
2025年11月14日付で、同社は「契約損失引当金及び非金融資産の減損損失並びに仕入先からの求償請求の和解に伴う債務の計上に関するお知らせ」を公表し、2026年3月期第1四半期・第2四半期決算において同項目を計上済みであることを示していた。9月30日付の開示は、その延期後の確定額の公表であり、該当項目の計上自体は約10ヶ月前から公表されていた。
Daktronics
2026年4月の投資家向け説明会で、同社は2028会計年度の目標(売上高CAGR7〜10%、営業利益率10〜12%、ROIC17〜20%)を示していた。10月12日の取締役会承認は、この目標達成に向けた戦略実行として説明されている。
Getty Images
8-K本文には、継続企業の前提に関する重大な疑義がある旨の記載がある。10月12日付で主要株主および一部債権者とRSAを締結し、10月20日に計画への投票を開始していたことが、申請前の手続きとして公表されている。資金繰りがいつから悪化したかなど、それ以前の経緯は8-K本文からは確認できなかった。
独立軒写真場
東京商工リサーチ米子支店の情報によれば、競合に加え、スマートフォンのカメラ機能向上が売上減少の要因とされていた。売上高は1998年9月期の1億4,000万円から2025年8月期の2,800万円まで、27年にわたって減少を続けていた。2025年8月期は赤字を計上し、資金繰りが悪化していた。2026年8月に代表者が死去した。
③ 構造として残るもの
独立軒写真場では、スマートフォンのカメラ機能向上による需要の縮小が27年にわたって売上高に表れ続けていた。事業停止の直接の引き金は、2026年8月の代表者の死去だった。
技術や市場構造の変化による需要の縮小は、売上高にゆっくりと表れる。事業そのものを止める決定は、別の個別の出来事(代表者の死去、資金繰りの限界、主要契約の終了)によって生じる。後継者を定めていない中小企業では、売上高の減少傾向を確認できていても、事業を止める決定そのものは、代表者個人に起きる出来事に依存する形になりやすい。