2026-10-26/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
ブラウザ「Arc」、2026年12月22日にサービス終了
米The Browser Companyは2026年10月22日、公式ブログで自社ブラウザ「Arc」のサービスを2026年12月22日に終了すると発表した。同日以降、新規のArcアカウント作成を停止した。モバイル版「Arc Search」のAI機能・サインイン・同期機能は2026年11月23日に終了する。Android版「Arc Search」は2026年12月22日にGoogle Playから削除される。アカウント無効化後、個人データは30日以内に削除される。
旅行ゲーム「ワールドクエスト」、PHPの脆弱性を理由に即日サービス終了
旅行ゲーム「ワールドクエスト」の運営は2026年10月21日、公式サイトおよび公式Xで、同日をもってサービスを終了すると発表した。発表から終了まで即日だった。運営は、サーバーで使うプログラム言語PHPに深刻な脆弱性が見つかり、古い仕組みでは十分な対策が取れないためと説明している。
海苔弁当「いちのや」28店舗が破産、負債約8億7,600万円
東京地裁は2026年9月30日、株式会社いちのや(東京都中央区、旧商号 株式会社本塁打)に破産手続き開始決定を出した。同社は高級海苔弁当店「いちのや」を直営・フランチャイズ合わせて28店舗展開していた。負債総額は約8億7,600万円、債権者は約38名。年売上高は2024年5月期の約6億4,100万円から2026年5月期は約4億5,800万円に減少し、2026年7月31日に本店(靖国通り)を閉店した。
トレードワークス、岩井コスモ証券向け取引システムの設定不備で特別損失約5,000万円を計上へ
株式会社トレードワークス(証券コード3997)は2026年10月23日、岩井コスモ証券に提供するインターネット取引システムへの不正アクセスについて経過報告を公表した。原因はシステムの一部管理機能の設定上の不備で、本来は限定された環境からのみ利用されるべき機能が外部から利用できる状態にあった。2026年10月14日に不正なアクセスを検知し、遮断した。岩井コスモ証券の顧客口座で意図しない売買注文が成立したが、同日中に取引前の状態に復元され、顧客に金銭的負担は生じていないとしている。情報漏えいの可能性がある対象は4,975名(10月16日時点の4,611名に、調査で新たに判明した364名を加えたもの)。損害の見込額は約50百万円(5,000万円)で、特別損失(本来の事業活動以外から生じる損失)として2026年12月期第4四半期に計上する見込みだとしている。
Web制作基盤Studioへの不正アクセス、デジタル庁分は最大13,323件に波及
Web制作基盤「Studio」を運営するStudio株式会社は2026年10月16日、クラウド環境への不正アクセスを第一報として公表した(10月18日更新)。第三者による不正アクセスは2026年9月30日から10月1日(日本時間)に確認されており、同社は10月13日に検知し、10月13日から14日にかけて脆弱性の修正と経路の遮断を完了した。デジタル庁は10月22日、同庁が運用する「省庁統一ウェブサイト」でStudioのフォーム機能を利用していたことから、問い合わせ内容などが漏えいした可能性があると公表した。デジタル庁分の影響は、2021年5月から2023年3月の問い合わせフォーム入力分で最大13,323件、Studioアカウント情報は35件(デジタル庁職員または委託事業従事者分)。Studio側全体の対象件数は精査中である。
Google Cloud、米国リージョンのストレージ書き込み障害が2日にわたり計18時間11分
Googleは公式ステータスページで、Cloud Storageの書き込み・アップロード操作に生じた障害の経過を公表した。障害は2026年10月8日04:00(米国太平洋時間)にus-central1リージョンで発生し、同日16:30にいったん収束した。10月9日04:05にus-central1-bゾーンで再発し、同日09:46に収束した。2回の障害期間を合計すると約18時間11分。原因は、負荷分散層のトラフィック振り分け最適化の設定変更が容量を考慮したルーティングを迂回し、一部ストレージノードに書き込みトラフィックが集中したこと。10月9日の再発は、アップロードプランナー機能のロールバックが不完全だったことによる。
② 当時、それはどう見えていたか
Arcについて、当時の材料は確認できませんでした。発表では新ブラウザ「Dia」への開発・セキュリティ対応の集中を理由としていますが、この方針がいつから公表されていたかは確認できていません。
ワールドクエストについて、当時の材料は確認できませんでした。脆弱性の発見時期や詳細は公表資料に記載がありません。
いちのやについて、2024年9月に米穀卸業者の傘下に入り経営体制を刷新していた。その後も不採算店舗の閉鎖を進めていたが、仕入れ価格・人件費の上昇と競合の激化が続いていた。
トレードワークスについて、当時の材料は確認できませんでした。委託先システムの管理機能の設定不備は外部から認識できる性質のものではなく、10月16日の第1報より前に公表されていた材料は確認できません。
Studioについて、当時の材料は確認できませんでした。基盤側の脆弱性は利用組織が事前に把握できる性質のものではなく、10月16日の第一報より前に公表されていた材料は確認できません。
Google Cloudについて、当時の材料は確認できませんでした。クラウド事業者側の内部設定変更であり、利用者が事前に把握できる公表材料は確認できません。
③ 構造として残るもの
トレードワークスの事案で売買注文が成立したのは、岩井コスモ証券が取引システムの運用を委託していたトレードワークス側の管理機能だった。Studioの事案で問い合わせ内容が漏えいした可能性が生じたのは、デジタル庁がフォーム機能として利用していたStudio側のクラウド環境だった。どちらも、自社が直接管理していない場所で起きた問題について、自社の名前で利用者に説明する事態になっている。
問い合わせフォーム、決済、取引システムなど、業務の一部を外部に委託したり共有の基盤に乗っている企業は、委託先・基盤提供者側の設定不備や脆弱性が、自社の顧客への説明責任に直結する。委託先を選ぶ契約の段階だけでなく、委託先が現在どのような対応をしているかを確かめることは、決裁を経ずに担当者が確認できる。