2026-10-28/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
Microsoft、希望退職制度「VEO」を発表 報道の対象規模は6万人
米Microsoftは2026年10月26日、米国・カナダ・英国・インドの一部従業員を対象に、任意の希望退職制度「Voluntary Exit Offer」(VEO、任意の希望退職制度)を導入すると発表した。対象は職位レベル70以下の社員で、参加の有無は各事業部門の事情により異なるとしている。ITmedia・産経新聞など報道による対象規模は約6万人、全従業員約22万3000人の27%超にあたる。Microsoft公式発表に対象人数の記載はない。
英ウッドフォード・ヒーティング、管財人選任を公告
英国で配管・暖房・空調設備の設置を手がけるWoodford Heating & Energy Limited(会社番号02868418、旧社名Woodford Heating Limited、本店は英エセックス州ラウトン)について、The London Gazette(英国政府発行の官報)が2026年10月7日、同年10月1日付でRichard Jeffrey Rones氏(ThorntonRones Limited所属)が管財人(administrator、企業の資産を管理し債権者のために整理手続きを進める専門家)に任命されたと公告した(通知ID5225169)。管轄はHigh Court of Justice、Business and Property Courts of England and Wales(裁判所番号CR-2026-007600)。公告に負債額・資産額の記載はない。
Cloudflare、Workers AIのGLM-5.3で他利用者のデータが混入 155件
Cloudflareは2026年10月26日、Workers AI上のGLM-5.3モデル(@cf/zai-org/glm-5.3)で、2026年8月27日の公開時から9月9日までの間、一部の利用者への応答に直前に送られた別の利用者のリクエストのデータが混入していたと公表した。影響を受けた応答は155件で、いずれも681,280トークンを超える長いプロンプトだった。モデルの設定上のコンテキスト長(1回の処理で扱える情報量の上限)は1,048,576トークンだったが、処理側のキャッシュ領域は681,280トークン分しか確保されていなかった。
ウクライナ・セヴァストポリの停電、8時間でHTTPトラフィック98%減
Cloudflareが公表した2026年第3四半期のインターネット障害まとめによると、2026年7月5日、ウクライナ・セヴァストポリで電力網の停電が発生し、約8時間にわたり地域のインターネット接続が落ちた。同地域のHTTPトラフィックは最大98%減少した。
Convera、2026年世界経済見通しを自己検証 原油安予測と関税打撃の見積もりが外れる
為替・国際送金サービスを手がけるConvera(Convera Holdings, LLC)は、2026年1月公表の自社経済見通し「Are You Ready for 2026?」を、2026年10月14日付(最終更新10月27日)の自社ブログで項目ごとに検証した。ブレント原油(北海産原油の指標価格)は2026年3月に約7か月ぶりの高値を記録し、2026年のAI関連投資額は1兆ドルを超える規模になったとしている。
1960年の人口終末予測、2026年11月13日を前に外れが確定
1960年、物理学者ハインツ・フォン・フォルスターらが学術誌Scienceに発表した論文は、過去2000年の24点の人口推定値から人口増加の加速度を算出し、2026年11月13日に世界人口が無限大に近づくと示した。2026年10月16日付の記事(歴史学者Alan MacEachern執筆、The Conversation、ScienceDailyに配信)が、この予測を実際の人口推移と比較した。予測モデルは1993年頃まで実際の人口推移と近い精度を保っていたが、その後は実績が予測を下回った。現在の世界の出生率は1960年当時のおよそ半分とされる。
② 当時、それはどう見えていたか
Microsoftについて、公式ブログは制度の目的を「事業の優先事項、顧客への約束、人員ニーズに応じて参加の有無が変わる」「変化するニーズに人員を適応させる別の手段を与える」と説明し、前年に実施した自主退職プログラム(Voluntary Retirement Program)を踏まえたものとしている。AI投資との関連については公式発表に記載がなく、報道側の観測にとどまる。
ウッドフォード・ヒーティングについて、当時の材料は確認できませんでした。公告には管財人選任の事実と裁判所情報のみが記載され、業況や財務状況についての記載はない。
Cloudflareについて、セキュリティ研究者Gadi Evron氏(Knostic)が2026年9月8日にHackerOne経由で報告した。Cloudflareは同9日13:22(UTC)にインシデントを宣言し、同日14:00にモデルを非公開化、19:40に復旧させた。公表は発見から約1カ月半後で、推論エンジンSGLangの開発チームとの協調的開示にあわせたとしている。
セヴァストポリの停電について、当時の材料は確認できませんでした。停電自体の原因についてCloudflareの報告は触れていない。
Converaについて、2026年1月公表の自社見通しは、地政学リスクの増加、金利と通貨の従来の関係の崩れ、政府債務増加による長期金利の高止まり、低インフレ時代が戻らないこと、関税による貿易・成長への打撃、FRBの独立性が市場の主要リスクになること、を予測していた。
1960年の人口予測について、当時の材料は1960年のScience論文本体で、同時期の報道として1960年11月4日付のThe New York Times、同時期のTime誌が取り上げている。
③ 構造として残るもの
Converaの検証は、地政学・長期金利・インフレの長期化は予測どおりとした一方、原油安の見通し、関税が成長に与える打撃の大きさ、AI投資の規模、FRB独立性リスクの市場への影響度は見誤ったとし、当たった項目と外れた項目を同じ記事内に並べている。1960年の人口予測の検証も、モデルが1993年頃まで実測と一致していた点と、その後外れた点の両方を記録している。外れた理由は、論文が示した出生率の高さという前提が、論文自体の警告が広まったことで出生率が下がり、崩れた点にあるとされている。
どちらの検証も、当たった部分だけを残して外れた部分を消す形にはなっていない。売上予測・需要予測・事業計画など、将来の数字を外部や社内に示す行為は、中小企業でも行われている。その予測を、期日が来たときに当たった部分と外れた部分を両方残して見返す記録があるかどうかは、決裁を経ずに確かめられる。