2026-11-06/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
インディビオア、サプナス・ファーマシューティカルズとの経営統合を完了 社名をSupernus, Inc.に変更
米インディビオア(Indivior Pharmaceuticals, Inc.)は2026年11月2日午前8時18分(米東部時間)、2026年8月1日付の合併契約に基づき、子会社Artemis Merger Sub Inc.をサプナス・ファーマシューティカルズ(Supernus Pharmaceuticals, Inc.)に吸収合併させる形で経営統合を完了した。サプナスが存続会社となり、インディビオアはサプナスの完全子会社となった。合併と同時にインディビオアは社名をSupernus, Inc.に変更した。株式交換比率はサプナス株式1株につきインディビオア株式1.5401株(端数は現金払い)。完全希薄化ベースで旧インディビオア株主が統合会社の約56.5%、旧サプナス株主が約43.5%を保有する。合併と同日付で担保付シニアターム・ローン6億5,000万ドルを新規締結し全額借入した(Citibank, N.A.がエージェント)。旧インディビオアのCEO・CFO・最高商務責任者・最高法務責任者は発効時点で退任し、取締役4名も退任した。株式のティッカーは2026年11月3日頃にINDVからSUPNに変更される。
Karyopharm Therapeutics、有担保債務約2億7,600万ドルを抱え事前合意型Chapter11を申請
米製薬会社Karyopharm Therapeutics Inc.と子会社KPT Texas LLCが2026年11月2日、米テキサス州南部地区連邦破産裁判所(ヒューストン支部)にChapter 11(連邦破産法第11章、事業継続を前提とした再建型手続き)を申請した。有担保債権者(融資契約・2028年債・2029年債・ロイヤリティ契約の保有者)とAyrmid Ltd.(Gamida Cell Inc.の親会社)との間で、申請前に再建支援契約(RSA)が結ばれている。有担保の資金調達債務の合計は約2億7,600万ドル。DIPファイナンス(破産手続き中に新たに受ける融資)は総額1億1,000万ドルで、新規資金最大5,500万ドルとロールアップ(既存債務の組み替え)最大5,500万ドルからなる。再編後のNewCo株式は、既存債権者側が55%、Ayrmid既存株主側が45%を受け取る。既存株式・ストックオプションは無対価で消却される。
福岡市の訪問介護事業者アーヴァイン、負債約3,700万円で破産手続開始決定
アーヴァイン株式会社(福岡市東区、訪問介護・訪問看護)が2026年10月21日、福岡地方裁判所から破産手続開始決定を受けた。2017年に訪問介護事業所を開設し、2022年8月に法人化していた。負債総額は2025年3月期末時点で約3,700万円。同期の売上高は1億4,035万円、当期純利益は127万円だった。
アンドエスティHD、不正アクセスで顧客約274万件・従業員約2.4万件に漏えいのおそれ(第2報)
株式会社アンドエスティHDは、2026年10月22日午前7時30分頃から複数の業務サーバーへの不正アクセスを受け、同日午前10時頃に検知してサーバーを隔離した。10月23日に初回公表し、個人情報保護委員会への報告と警察への相談を行った。11月4日の第2報で、対象範囲を顧客約274万件(10月23日時点は約250万件)、従業員約2.4万件(2013年6月〜2022年11月に同社グループで社会保険に加入していた現従業員・一部退職者)に更新した。取引先は約1万件(10月23日公表時点)。
ヤクルト本社、ホームページ不正アクセスで個人情報39,505件の漏えいを確認(第3報)
株式会社ヤクルト本社は、2026年10月26日に自社ホームページへの不正アクセスを確認し、被害拡大防止のためホームページ機能を停止した。11月4日の第3報で、問い合わせフォーム・給食サイト会員・報道関係者向けフォーム・化粧品キャンペーン応募者・対応した社員の5区分について、漏えいした個人情報が合計39,505件であることを確認したと公表した。内訳は問い合わせフォーム31,781件、給食サイト会員5,698件、報道関係者向けフォーム1,613件、化粧品キャンペーン応募者354件、対応社員59件。対象期間は2011年2月〜2026年10月分を含む。個人情報保護委員会への報告と警察への相談を行っている。
FIS、通期の調整後EPS成長率見通しを7.0〜8.5%から1.2〜2.4%に下方修正
米フィデリティ・ナショナル・インフォメーション・サービシズ(FIS)が2026年11月4日、2026年第3四半期決算発表で2026年通期の業績見通しを更新した。調整後EPS(1株当たり利益)成長率は7.0〜8.5%(金額ベース6.15〜6.24ドル)から1.2〜2.4%(金額ベース5.82〜5.89ドル)に下がった。調整後売上高成長率は29〜30%から28〜29%、調整後EBITDA(利払い・税金・償却前の利益に一時的な費用を除いた指標)成長率は32〜34%から29〜30%に下がった。フリーキャッシュフロー(事業で得た現金から投資を引いた残り)目標は21.5億〜22.5億ドルで据え置いた。
② 当時、それはどう見えていたか
インディビオア
2026年8月1日付で合併契約が締結され、サプナスが存続会社となること、株式交換比率(サプナス株式1株につきインディビオア株式1.5401株)を含む取引の枠組みはその時点で公表されていた。
Karyopharm Therapeutics
開示声明によれば、2026年に実施した第3相試験2件の結果が期待を下回り、流動性が逼迫した。2025年7月からCenterviewの助言のもとで戦略的選択肢の検討を始め、2026年7月に売却プロセスを開始したが、実行可能な提案は得られなかった。流動性が尽きる前に決着させる必要があったとしている。
アーヴァイン
当時の材料は確認できませんでした。非上場企業のため、2025年3月期の売上高・純利益の数値は破産後の報道で判明したものであり、決定前に公表されていた資料ではありません。
アンドエスティHD
当時の材料は確認できませんでした(発表に原因・侵入経路の記載はありません)。
ヤクルト本社
当時の材料は確認できませんでした(発表に原因・侵入経路の記載はありません)。
FIS
2026年8月4日公表の第2四半期決算時点の通期見通しは、調整後EPS成長率7.0〜8.5%、調整後EBITDA成長率32〜34%、プロフォーマ売上高成長率4.5〜5.0%だった。同時点でTotal Issuing Solutions買収後の借入金削減を優先し、自社株買いと小型M&Aを一時停止する方針も公表されていた。下方修正の具体的な理由は、2026年11月4日のプレスリリース本文には明記がなく、確認できませんでした。
③ 構造として残るもの
Karyopharm Therapeuticsの申請は、有担保債権者とAyrmid Ltd.が、申請前にRSA(再建支援契約)に署名した状態で行われている。開示声明によれば、2025年7月に戦略的選択肢の検討を始め、2026年7月に売却プロセスへ進んだが実行可能な提案は得られず、流動性が尽きる前に決着させる必要があったとしている。主要な債権者との交渉を終えた後に申請する形は、治験の成否に収益が依存する製薬会社に限らない。取引先への支払いや受注の停止が続いた場合に資金が尽きるまでの期間を、自社で把握しているかどうかが、交渉に入る時点を決める材料になる。