2026-11-07/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
エムティーアイ、昭文社HD株式40億5,200万円分のTOB応募契約を締結、特別損失4.1億円
エムティーアイ(証券コード9438)は2026年11月6日、持分法適用関連会社(経営に影響力を持つ関連会社で、業績の一定割合を自社の損益に反映する会社)である株式会社昭文社ホールディングス(昭文社HD)の全株式を、昭文社HDの大株主・黒田茂夫氏が100%保有する株式会社MSEが実施するTOB(公開買付け、買い手が価格と期間を示して株主から株式を買い集める手続き)に応募する契約を締結した。応募株式数は5,389,587株(議決権所有割合29.90%)、譲渡価額は40億5,200万円(1株752円)。TOB成立後、エムティーアイの昭文社HD株式保有は0株になる。特別損失(連結、本来の事業活動以外から生じる損失)は関係会社株式売却損4.1億円(概算)、特別利益(個別)は関係会社株式売却益15.3億円(概算)で、いずれも2027年9月期に計上予定。TOB期間は2026年11月9日から12月21日、結果公表は12月22日、決済開始は12月28日(いずれも予定)。
ローム、今期経常利益を360億円から530億円に47%上方修正
ローム株式会社は2026年11月5日、2026年5月12日に公表した2027年3月期(2026年4月1日~2027年3月31日)通期連結業績予想を上方修正すると発表した。経常利益予想を360億円から530億円に47.2%上方修正。親会社株主に帰属する当期純利益予想は290億円から450億円に55.2%上方修正。営業利益は300億円から500億円(66.7%増)、売上高は5,100億円から5,500億円(7.8%増)。前期(2026年3月期)実績は純利益が1,584億円の赤字だった。
三菱自動車、通期経常利益を800億円から480億円に40%下方修正
三菱自動車工業株式会社は2026年11月6日開催の取締役会で、2027年3月期通期連結業績予想を下方修正すると決議し、同日公表した。経常利益予想を800億円から480億円に40.0%下方修正。親会社株主に帰属する当期純利益予想は250億円から100億円に60.0%下方修正。営業利益は900億円から700億円(22.2%減)、売上高は3兆2,600億円から2兆9,600億円(9.2%減)。グローバル販売台数見通しは764千台に変更した。
AGC、通期純利益予想を770億円から400億円に48%下方修正
AGC株式会社は2026年11月5日、2026年2月6日に公表した2026年12月期(2026年1月1日~12月31日)通期連結業績予想を下方修正すると発表した。親会社の所有者に帰属する当期純利益予想を770億円から400億円に48.1%下方修正。税引前利益は1,240億円から820億円(33.9%減)、営業利益は1,500億円から1,200億円(20.0%減)。売上高は2兆2,000億円で据え置き。配当予想の修正はない。
② 当時、それはどう見えていたか
エムティーアイ
開示本文の記載によれば、MSEから昭文社HD株式の非公開化に向けたTOBへの応募の申し出があり、エムティーアイは協議の結果、TOBが昭文社HDの企業価値向上に資すること、応募が自社にとって経済合理性を有することを確認したとしている。この判断の前提となる独立した先行公表資料は確認できませんでした。取締役会決議と契約締結・開示は同日だった。
ローム
前回予想は2026年5月12日公表分。今回の修正理由として、生成AIの普及に伴うデータセンター関連投資の拡大とサーバー・ストレージ向け需要の継続、産業機器市場のFA(ファクトリーオートメーション)向け需要回復、自動車市場のxEV向け需要の底堅さが公表されている。下期の為替前提は1米ドル153円。原材料・エネルギー・物流費のコスト上昇が続いているとも記載されている。
三菱自動車
修正発表時点で、中東紛争を契機とした燃料価格の上昇、想定を上回るスピード・規模での電動化シフト、価格競争の激化が理由として公表されている。通期の為替前提は1米ドル157円、1ユーロ184円。中東紛争の長期化と燃料高・電動化シフトの継続、資材費高騰によるコスト悪化拡大の見通しも記載されている。
AGC
前回予想は2026年2月6日公表分。修正理由として、オートモーティブ事業の北米・欧州における製造コスト悪化、エッセンシャルケミカルズ事業の東南アジアにおける原燃材料価格の上昇、建築ガラス事業の欧州・アジアおよびライフサイエンス事業のバイオ医薬品CDMO(医薬品の製造を受託する事業)における販売数量の未達が公表されている。税引前利益以下はこれに加え、バイオ医薬品CDMOの米国コロラド拠点売却に伴う固定資産売却損の計上が理由とされている。
③ 構造として残るもの
ローム・三菱自動車・AGCの3社は、今回の上方修正・下方修正の理由として、為替レートや需要動向、原材料価格といった前提条件を公表資料に数値で示している。ロームは下期の為替前提を1米ドル153円、三菱自動車は通期の為替前提を1米ドル157円・1ユーロ184円と明記した上で修正を発表した。通期の業績予想を立てる際に、前提とした為替レートや需要動向、主要な原材料価格を社内の計画書に数値で残しておけば、その前提が変わった時点が予想を見直す基準になる。前提を書かずに1つの数字だけを計画として持つ会社では、結果が計画からずれた後に、どの前提が外れたのかを後から特定しづらい。