2026-11-08/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
Sylvamo、欧州事業の売却に向けプットオプション契約を締結 非継続事業の損失2億8,400万ドル
米Sylvamo Corporation(NYSE: SLVM)は2026年11月6日、第3四半期決算発表にあわせてForm 8-Kを提出し、欧州事業(フランス・Saillatとスウェーデン・Nymöllaの非塗工紙(表面にコーティング加工をしていない印刷用紙)工場、森林事業等)について、Midas Atlantic Partners(The Najafi Companiesと提携)との間で、買収に関する拘束力のあるオファーに向けたプットオプション契約(将来、一定の条件で事業を売却できる権利を定める契約)を締結したと開示した。決算上、欧州事業は非継続事業(売却等により今後の業績に含めない事業として区分される会計上の分類)として報告されている。欧州事業(非継続事業)の第3四半期売上高は1億7,800万ドル、欧州事業の減損(資産の価値を帳簿上で切り下げる処理)は税引前・税引後とも3億4,200万ドルだった。非継続事業全体の損失は2億8,400万ドル、継続事業の純利益は8,500万ドル(売上高6億4,500万ドル)で、会社全体の第3四半期当期純損失は1億9,900万ドル(希薄化後1株当たり4.98ドルの損失)だった。
ネクセラファーマ、AbbVieとのライセンス契約受け今期営業利益予想を157億円に修正
ネクセラファーマ(証券コード4565)は2026年11月4日、子会社Nxera Pharma UK Ltdが米AbbVie社とEP4受容体作動薬プログラム(NXE0033744を含む)のグローバル独占的ライセンス契約を締結したとして、2026年12月期の連結業績予想(IFRS=国際会計基準)を修正した。営業利益予想は「7億円〜157億円」のレンジから157億円に変更した。契約一時金1億米ドルを、想定為替レート1米ドル=157.8円で157.8億円として2026年12月期第4四半期の売上収益に計上する前提。売上高予想は413億円から488億円に、営業利益予想は82億円から157億円に修正した。
フェローテック、今期経常利益予想を20%上方修正
フェローテック(証券コード6890)は2026年11月2日、2026年12月期(9か月の変則決算)の連結業績予想を上方修正した。売上高予想は3,800億円から4,000億円に、営業利益予想は600億円から680億円に、経常利益予想は550億円から660億円(20.0%増)に、最終利益予想は360億円から480億円に修正した。1株利益予想は667.0円から889.3円に、1株配当は200円で変更ない。
② 当時、それはどう見えていたか
Sylvamo
決算発表資料は、欧州事業の損失について、主因は非現金の減損損失(現金の支出を伴わない帳簿上の評価の切り下げ)だとしている。プットオプション契約は買収に関する拘束力のあるオファーに向けた段階であり、売却契約そのものではないと明記されている。
ネクセラファーマ
従来予想は7億円〜157億円という幅のある予想で、契約一時金をレンジ上限に織り込んでいたと会社側は説明している。業績予想は、取引が2026年12月31日までに完了すること、米国HSR法を含む独占禁止法上のクリアランスを取得すること、契約一時金の会計処理について会計監査人と合意が得られることを前提としており、これらに変更があれば速やかに開示するとしている。
フェローテック
前回予想は2026年8月14日発表。会社側は、生成AI関連の半導体製造装置向け材料製品、真空シール・金属加工などの需要増、AIデータセンター向け光トランシーバー用サーモモジュールの需要増、収益性の高い製品の売上増、税金費用の見積もり更新を修正理由として挙げている。中期経営計画の数値目標は、今後の業績動向を見て改めて検討・公表するとしている。
③ 構造として残るもの
Sylvamoは欧州事業の売却について、「拘束力のあるオファーに向けたプットオプション契約」の段階で、非継続事業への区分と減損の計上を先行させている。ネクセラファーマは、取引が2026年12月31日までに完了すること、独占禁止法上のクリアランスを取得すること、契約一時金の会計処理について会計監査人と合意が得られることを業績予想の前提として明記し、これらに変更があれば速やかに開示するとしている。両社とも、決算や業績予想に計上済みの数値が、まだ完了していない外部の手続き(買収契約の成立、独禁法当局の判断、監査人との合意)を前提にしている。自社の決算や業績予想を見るとき、計上済みの数字が確定した事実なのか、まだ完了していない手続きを前提にした数字なのかを、注記や前提条件の記載から確かめられるかが、その数字の使い方の基準になる。