CoBANTO3-AI

創刊準備号 Vol.42 / Claude Fable 5.1が公開されました——Anthropicがリリース文の冒頭に置いたのは、価格とデータ保持と安全装置の3つ

AIに断られたとき、そのAIができないのだと決めていませんか。

2026年09月02日 一般公開

① 事実

Anthropicは、リリース文の冒頭に、顧客から受けてきた指摘を3つ並べました

Anthropicが9月2日、Claude Fable 5.1を公開しました。AWS、Google Cloud、Microsoft Azureを含む全プラットフォームで、本日から使えるようになっています。

能力の説明は「その一方で」の側に置かれています。本題は次の一文でした。

「増した能力とあわせて、Fable 5.1は、価格、データ保持、安全装置について顧客から受けてきた指摘に応える重要な一歩を踏み出しています」
タグ=モデル, 料金

そして本文に「価格」「データ保持」「安全装置」という3つの見出しが立っています。顧客から受けてきた指摘のほうが、先に来ています。

Anthropicは、キャッシュ読み取りの料金を75%下げました

1つ目は価格です。下げたのはキャッシュ読み取り(一度処理して保存してある入力を、もう一度読むこと)の料金でした。100万トークン(AIが文章を扱う単位。料金はこれで数えます)あたり0.25ドルで、従来から75%引き下げです。

キャッシュは、連続したやり取りには必須の機能です。これが効かないと、続いている会話のすべてを毎回ゼロから処理することになり、API料金が爆発的に高額になります。

基本料金は据え置きです。入力が100万トークンあたり10ドル、出力が50ドル。

Anthropicの見込みでは、前のバージョンであるFable 5と比べて、典型的な使い方で実効費用が約25%安くなります。 AIエージェント(AIが自分で手順を判断して長く動く使い方)では、最大で約45%。2026年8月の4週間の実際の使用量をもとにした指数だと注記されています。

基本料金そのものは、下位のClaude Opus 5の2倍あります。Opus 5は入力が5ドル、出力が25ドル。ただしキャッシュ読み取りだけは逆で、Opus 5の0.50ドルに対して0.25ドルと半額です。

データを顧客のクラウドに置く仕組みは、企業向け契約の顧客が対象です

2つ目はデータ保持です。Enterprise Frontier Safeguards(EFS)という新しい仕組みで、対象は企業向け契約の顧客に限られます。 申し込みを受け付ける形で、今秋から段階的に提供されます。

中身は、データをAnthropicではなく顧客が全面的に管理するクラウドに置くことです。人が中身を確認する場合も、既定では顧客自身が行います。金融・医療・製造・通信・法律・小売・公共部門の100社以上と共同で作った、とAnthropicは書いています。

提供が始まるまでの間、対象となる顧客はゼロデータ保持(送ったデータを提供元に残さない設定)でFable 5.1を使えます。

Fable 5で、敏感すぎた「安全装置」

3つ目が安全装置です。Anthropicが書いているのは、判別の精度を上げた(原文は「more precise」)ことと、その結果として誤検知(危険でないものを危険と判定すること。リリース文では「システムが良性の内容にフラグを立てる」と説明されています)が減ったことでした。

  • サイバーセキュリティ分野で、誤検知が60%減。Claude Codeでは、1セッションあたりの介入回数が平均で約60%減る見込み。
  • 生物分野で、初等生物学や医療についての良性の質問に対する発動が85%減(Fable 5の提供開始時点との比較)。
  • 脆弱性(悪意ある第三者に突かれうる欠陥)の発見に使えるようになりました。ただし、それを突く攻撃コードの作成には使えません。

安全装置は、止めるだけではありません。

「生命科学の研究開発に関わる問い合わせは、引き続きAnthropicのOpusモデルに回されます」
「Anthropicの安全装置は、引き続きいくつかの種類のデュアルユース(防御にも攻撃にも使える)のサイバー分野の作業をリダイレクトします」

Opusに回るのか、そこで止まるのかは、使っている入口の作りによります。 Claude Desktopなどのアプリは自動で切り替えます。APIでは、切り替えを許可するかどうかを呼び出しのたびに選べて、止めることもできます。

Claude Mythos 5.1は、Fable 5.1の安全装置をさらに緩めた仕様です

同日、Claude Mythos 5.1も公開されました。Anthropicの説明では、Fable 5.1と同一のモデルで、違うのは安全装置の水準だけです。

使えるのは、審査を通った組織と個人に限られます。防御側のセキュリティ実務者向けのCyber Verification Programと、生命科学の専門家向けのLife Sciences Verification Program。後者は米国政府との提携で運営されています。現時点では米国の一部の組織だけが対象です。


② 構造

今回強調された3つは、能力向上の話ではありません

価格、データの扱い、安全装置。どれも、AIの能力向上の話とは別です。

料金が高ければ、できることが多くても使いません。データを預けられなければ、使える場面が減ります。正常な依頼が止まれば、話が続きません。使われなくなる理由は、使いにくさのほうにありました。

今回の3つは、APIを大量に使う企業の側から出た話です

3つを誰が困っていたかで並べ直すと、同じところに集まります。

EFSは企業向け契約の顧客が対象で、100社以上と共同で作られています。価格で下げたキャッシュ読み取りは、長く続く会話や道具を何度も呼ぶ使い方で、費用の大半を占める部分です。 リリース文には、開発支援サービスDevinの「新しいキャッシュ読み取りの価格で、Opusに残していた仕事をFableへ移せる」という声が載っています。安全装置で挙げられた数字も、Claude Codeの1セッションあたりの介入回数でした。

今回の3つは、APIを大量に使う企業の要望を受け入れた形に読めます。 Anthropicの売上の多くを、そうした顧客が持っているからだと推測できます。

Anthropicは「緩めた」とは書いていません

書いてあるのは「精度を上げた」です。誤って止めた回数が減ったのは、その結果として書かれています。

線そのものは残っています。生命科学の問い合わせは引き続きOpusへ回り、デュアルユースのサイバー作業は引き続きリダイレクトされます。緩めた版は、審査を通った相手にだけ別のモデル名で配られました。


③ 自分事

私は、前のバージョンのFable 5を使うのをやめていました

理由は、Claude DesktopでFable 5を使っていると、モデルが自動的にOpusへ切り替わることでした。 話が自然に続かないので、だんだん使わなくなりました。

こうした挙動は、Claude Desktopやスマートフォンのアプリ特有の実装です。Fableというモデルの能力ではありません。 FableのAPI仕様がそうなっている、ということです。

現に、当社のCoBANTO3-AIはあえて自動の切り替えを行いません。そこで立ち止まり、言い方や言葉選びを変えてみるようユーザーへ呼びかけて、もう一度試すことを促す作りです。

断られたとき、モデルの能力とは限りません

同じ言葉を送っても、Claude Desktopなら別のモデルが答え、当社のCoBANTO3-AIなら止まります。答えを出しているのが誰かは、入口の作りで変わります。

自社でAIを使っていて止まったときも、同じ見方ができます。そのAIができないのか、別のモデルに回されたのか、入口の作りでそうなっているのか。打つ手が、それぞれ違います。

当社は、Fable 5.1をCoBANTO3-AIで使えるように改修しました

今回Anthropicが重視した改良点のうちの一つが、私が思っていたことでした。もう一つは料金です。モデルの基本料金がかなり高額なので、キャッシュで調整を入れてきた、と読めます。

せっかくなので、Fable 5.1をCoBANTO3-AIで使えるように改修して、実際に使ってみました。感想は、次の「今月のモデル」に書きます。


今月のモデル

新しいAIが出るたびに、ゲームを作らせたとか、ベンチマークばかりが並びます。ですが、その点数と、自社の仕事で使えるかどうかは、別です。

今号は、本文で扱ったClaude Fable 5.1を、CoBANTO3-AIに載せて触りました。

  • 断られません。 前のバージョンのFable 5は、ちょっとしたことで断ってきました。いまはOpus 5と同じくらいの感覚で使えます。
  • 高い。 入力も出力も、Opus 5のちょうど2倍です。
  • 答えは的確で、長さがちょうどよく、要点のまとめ方は一段上に感じます。私の感覚です。
  • 意外に遅くありません。 いちばん時間をかける「とことん」(Fable 5.1 xHigh)でも、そこまで変わりませんでした。

CoBANTO3-AIチャットを無料体験しませんか?

https://www.netkomuten.tokyo/lp/co-banto3-ai

本紙のバックナンバーを記憶し、本紙の読み方(戦略の階層・歴史循環)で、あなたの状況に当てて答えるAIチャットです。記事は「地図」ですが、地図は現地には当たりません。「この号の話、うちの場合はどうなるのか」を訊く場所として用意しました。

ご利用は事前購入のクレジット制です(1,000円から)。月額の契約ではないので、解約の手続きはありません。使った分だけ減り、無くなれば止まります。

消費は、<strong>基本料金と、答えの長さ(100字ごとに1クレジット)</strong>で決まります。短い答えなら少なく、長い答えほど多くかかります。

CoBANTO3-AIに、Claude Fable 5.1を追加しました。「最上位」(熟考)が1回14クレジット、「とことん」(xhigh)が18クレジットです。どちらも導入キャンペーン価格で、のちに20と25になります。

読者登録をいただいた方には、無料クレジットを500クレジット、プレゼントします。 無料で体験できるので、ぜひこの機会に触ってみてくださいね。


ライトノベル「ようこそ、東京ネット工務店へ」

海老沢が執筆している、IT業界のお仕事小説です。毎号1話ずつご紹介します。

今号の話:〈第二部 第32章「全部、逆だった」〉

引き受けた通販サイトの蓋を開けると、二十年・三十万人の店が、ブログ向けの仕組みに五十個以上の拡張機能を継ぎ足して作られていました。何のために入っているか、誰も知らないものが半分です。

https://www.netkomuten.tokyo/channels/novel-tnk-part2/articles/ch32

小説を書いている理由

この小説は、もともと、社内の教育のために書き始めました。うちの会社——東京ネット工務店で、新しく入った人間に、この仕事の考え方を伝えるための、いわば教材でした。戦略の階層とか、取捨選択とか、口で言っても、なかなか伝わりません。だったら、物語にして読んでもらったほうが早い。そう思って、書き始めました。

ところが、いろいろあって、その教材が、要らなくなってしまいました。理由は、いろいろあります。ここには、書ききれません。ただ、宙に浮いてしまった原稿を、捨てるのも惜しくて、何度も書き直しながら、今度は、教材ではなく、ただ読んで面白い、お仕事小説として、作り直していきました。

https://www.netkomuten.tokyo/channels/atogaki/articles/atogaki-1


Q&Aコーナー

AI・IT業界に関するご質問を募集しています。CoBANTO3-AIチャットのサポートも、こちらへお願いします。

本紙の通知メール・LINEに、そのまま返信していただけます。

読者登録をされていない方は、こちらからどうぞ。

いただいたお名前は匿名にして回答します。内容によっては、個別に回答させていただく場合があります。

5124文字 ・ 約9分

ほかの読みもの

新しい号から読む

第1号から読む

このチャンネルのポリシー

著作権
チャンネル掲載の記事・小説等の著作権は海老澤敦に帰属します。当該コンテンツの掲載および当サイトの運営・管理は株式会社東京ネット工務店が行っています。その他、当サイトのコンテンツおよびロゴ・商標等の権利は同社に帰属します。
引用
当サイトのコンテンツは、通常の「引用(出典を明記した上で、一部を転載すること)」であれば、事前の連絡なく行っていただいて構いません。ただし、当サイトの文章や画像をAIのトレーニングデータ(生成AIの学習、機械学習、データ解析等)として取り込むこと、およびスクレイピングによる自動収集は固くお断りいたします。 Prohibition of AI Training and Data MiningWhile text quotation under copyright law is permitted with proper credit, the use of any content on this website for AI training, machine learning, text/data mining, or web scraping is strictly prohibited.
リンク
リンクは自由です。事前のご連絡は不要です。