CoBANTO3-AI

創刊準備号 Vol.35 / Ollamaは14人。Claudeの機能を借りて、何を売っている?

自社の商品のうち、借り物はどこですか。

2026年08月27日 一般公開

2026年8月27日/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦

① 事実

Ollamaを開くと、他社のAIツールが15個並んでいます

Ollamaは、AIのモデルを自分の機械で動かすための道具です。2026年8月25日、そのOllamaが「Claude Desktopから使えるようになった」と発表しました。

当社が実際につないでみました。

Ollamaのアプリを開くと、Appsという画面が出ます。そこに並んでいるのは、他社のAIツールです。

  • Claude(Anthropic)
  • Claude Code(同)
  • Codex(OpenAI)
  • Copilot CLI(GitHub)
  • Qwen Code(アリババ)
  • DeepSeek Harness(DeepSeek)
  • Hermes Agent/Hermes Desktop(Nous Research)
  • OpenClaw、OpenCode、Droid、Pi、Cline、Oh My Pi、Poolside

競合同士が、同じ一覧に並んでいます。

起動の仕方も書かれています。<strong>ollama launch claude。ollama launch codex。</strong> Ollamaのコマンドで、他社のツールを立ち上げる形です。Claudeの行には<strong>「Connected to Ollama · 1 request this session」</strong>と出ます。<strong>Ollamaが、接続とリクエスト数を数えています。</strong>

⚠️ そして、Ollama自身のチャット画面が見当たりません。 以前はありました。削除したという告知は、どこにもありません。 探して見つけられなかった、というのが当社の状況です。普通に起動して見つけられないものは、無いのと同じです。

Ollamaは14人で、890万人に使われています

<strong>従業員は14人です。</strong> 月に<strong>890万人</strong>の開発者が使い、<strong>Fortune 500の85%</strong>に入っているとOllamaは言っています。

2026年7月9日、6,500万ドルの資金調達(シリーズB=事業が立ち上がった後の、二回目の大きな出資)を発表しました。Theory Venturesが主導し、Benchmark、8VC、Y Combinatorなどが参加しています。累計の調達額は8,800万ドル。

売上と企業価値は公表されていません。

ローカルで動かすぶんは、永久に無料です

料金の作りは、こうなっています。

プラン 価格 同時に動かせるモデル
Free 0ドル 1個
Pro 月20ドル(年200ドル) 3個(Freeの50倍の利用量)
Max 月100ドル 10個(Proの5倍)※新規の申し込みを停止中
Team 1席あたり月25ドル(最低5席) —
Enterprise 個別 —

そして、自分の機械で動かすぶんには制限がありません。 Ollamaはこう書いています。

自分のハードウェアでモデルを動かすのは、常に無制限です。

⇒ 課金が発生するのは、Ollamaのクラウドを使ったときだけです。

⚠️ Claude Desktopにつないだとき、既定の割り当ては全部クラウドでした。 当社の画面では、Claudeのモデル選択肢に、それぞれ別のモデルが自動で割り当てられていました。

Claude Desktopの選択肢 割り当てられていたモデル
Fable 5 kimi-k3:cloud
Opus 5 glm-5.2:cloud
Sonnet 5 glm-5.3-flash:cloud
Haiku 4.5 gemma4:31b-cloud
Sonnet 4.6 deepseek-v4-pro:cloud

当社が選んだものではありません。開いたら、こうなっていました。

⚠️ これらは大きなモデルで、普通の機械では動きません。 Kimi K3は2兆8,000億のパラメータ(AIの規模を表す数値)を持ちます。Claude Desktopでまともに使おうとすれば、Ollamaのクラウドを通ることになります。

Anthropicには、会話が行きません

つないだ状態で、Claude Desktopのプライバシーの説明を開くと、こう書かれています。

お客様の組織独自の推論プロバイダー(127.0.0.1:11435)を通じてClaudeをご利用いただいています。会話はAnthropicではなく、そのプロバイダーに送信され、お客様の組織とプロバイダーとの契約に基づいて管理されます。

Anthropicが見ないものとして挙がっているのは、プロンプト、Claudeの回答、会話の内容、ファイル、コード、個人情報。Anthropicが受け取る可能性があるものは、クラッシュの報告、アップデートの確認、そして使用回数を含む匿名の利用統計です。

⚠️ 127.0.0.1 は、自分の機械を指す番号です。 会話は、いったん手元のOllamaに入ります。

⚠️ Anthropicのアカウント情報は表示されず、それまでの設定も引き継がれませんでした。 過去の会話も、プロジェクトも参照できません。画面に枠はありますが、中が空です。

⚠️ このことは、Ollamaの案内には書かれていません。 書かれているのは「元の設定に簡単に戻せます」まででした。

つないだその日に、止まりました

使い始めて間もなく、こう出ました。

API Error: 400 Claude model catalog changed; try again

Claude Desktopが持っているモデルの一覧が変わって、Ollamaの割り当てと食い違ったという意味です。その一覧はAnthropicのものです。

出典(一次):

  • Ollama「Claude Desktop support with Ollama」(2026年8月25日)https://ollama.com/blog/claude-desktop / 手順の記述 https://docs.ollama.com/integrations/claude-desktop
  • Ollama 料金ページ(Free/Pro/Max/Team/Enterprise・「自分のハードウェアで動かすのは常に無制限」)https://ollama.com/pricing
  • Ollama v0.33.0 リリースノート(2026年8月21日)https://github.com/ollama/ollama/releases
  • 当社の実見(Apps画面の15項目/既定の割り当て/プライバシーの表示/400エラー/2026年8月27日)
  • ⚠️ 資金調達・従業員数・利用者数は、Ollamaの発表を報じた記事によります(2026年7月9日・シリーズB 6,500万ドル・累計8,800万ドル・14人・890万人・Fortune 500の85%)。当社は、Ollamaが自分で出した発表に当たれていません。

② 構造

Ollamaも、会話の画面は持っていました

会話の画面だけなら、Ollamaも持っていました。 作れなかったわけではありません。

Claude Desktopにあるのは、画面だけではありません。 プロジェクト、アーティファクト、外部の道具との接続、指示の作り込み。これは積み上げが要ります。

⇒ Ollamaが手に入れたのは、Anthropicが積み上げた機能です。

そのうえで、モデルは自社が扱うものを流します。 Claude Desktopの5つの選択肢に、Kimi K3やGLM 5.2を割り当てたのがそれです。

モデルと機能は、別のものです。 どちらを作り、どちらを借りるかは、選べます。

同じ取引で、二社が別のものを取っています

手放したもの 取ったもの
Ollama 自分の画面を作ること 課金(クラウドの利用料)
Anthropic 課金(会話も料金も来ない) 操作の習慣と、蓄積

Ollamaは14人です。 モデルは作らず(公開されているものを配る)、画面も作らず(他社のものに乗る)、作っているのは動かす仕組みだけ。 だから14人で890万人に届きます。

Anthropicの側には、金が入りません。 会話も来ない。入るのは、使用回数の統計だけです。

それでも、Claude Desktopの操作を覚えた人は増えます。 そして過去の会話とプロジェクトは、Anthropicの側に残ったままです。 戻れば、すぐ使えます。

⚠️ これはAnthropicが狙っているという話ではありません。 Anthropicは、この件について何も言っていません。結果として、そういう形になっています。

ルールは、破られていません

Anthropicは、契約者向けの認証を他社の製品で使うことを禁じています。 使うなら、開発者向けの鍵を取るか、対応するクラウド事業者を通せ、という線です。

Ollamaのやり方は、この線を越えていません。 つないだとき、Anthropicへのサインインは行われていませんでした。契約者向けの認証を使っていないからです。

Anthropicが2026年に開けたのは、<strong>「決められた形式に合うゲートウェイなら、そこへ推論を回してよい」</strong>という口でした。想定していたのは、企業が自社で契約しているクラウドを通す使い方です。<strong>プライバシーの表示に「お客様の組織独自の推論プロバイダー」と出るのは、そのためです。</strong>

Ollamaは、その条件を満たしました。 2026年1月の版で、Anthropicと同じ形式の受け口を実装済みだったからです。

⇒ 条件を書いた側は、誰が通るかを選べません。

28年前に、似た枠の判断があります

1998年、ビル・ゲイツがワシントン大学の講演でこう言ったと報じられています。

盗むのなら、うちのを盗んでほしい。いわば中毒になる。そうすれば、次の10年のどこかで、回収する方法をなんとか見つける。

中国で違法なコピーが広まっていた時期の発言です。取り締まるより、標準になるほうを選びました。

⚠️ 当社は、この発言の元の記事に当たれていません。 引用集が示している出典は、1998年7月2日のCNETの報道です。

⚠️ そして、今回との違いがあります。

1998年のMicrosoft 2026年のAnthropic
何が起きたか 違法なコピーが広まった 合法な口を、想定していない相手が通った
対応 黙認した 何も言っていない
取り締まり しなかった する必要がない

盗まれてはいません。 決められた条件を満たした相手が、決められたとおりに通っただけです。違法なコピーと、ただ乗りは、別のものです。

似ているのは、戦術の枠のほうです。 短期の課金を諦めて、標準を取る。


③ 自分事

当社がやったのは、Ollamaの本来の使い方です

本紙は、AIチャットを運営しています。 本紙のバックナンバーを覚えさせ、本紙の読み方で答えるようにしたものです。そこに、公開されているモデルを載せました。

前号の号末に書いたとおりです。同じモデルでも、指示と文脈を載せると、返ってくるものが変わります。

Claudeにあたる部分を、自社で作った形です。 Ollamaはモデルを動かすための道具で、その上に自分でアプリを作るのが、元々の使い方です。

⚠️ ただし、そこを作るのは簡単ではありません。 会話の履歴を持ち、ファイルを扱い、外の道具とつなぎ、指示を作り込む。作るとなれば、そこが仕事になります。

⇒ だから、今回の手が効きます。 作らずに済む道を、Ollamaが用意しました。既にあるアプリに、そのまま乗せられます。

モデルと機能は、別のものです。 作るか、借りるかを選べます。分けて考えなければ、両方を自分で作ることになります。

会社と個人で、使い分けが起きます

会社の仕事では、外に出せないものがあります。 見積もり、図面、顧客の名前、契約の中身。手元のモデルなら、機械の外に出ません。

個人の作業では、便利さが勝ちます。 過去の会話も、作りかけの資料も、そのまま使えるほうがいい。

同じアプリで、中身だけ切り替える形が起きます。

⚠️ そのとき、操作の覚え方は一つで済みます。 これは使う側の得でもあり、アプリを作った側の得でもあります。

明日できること

⚠️ どれも、決裁は要りません。

一つ目。 自社の商品やサービスを、「中身」と「それを扱う仕組み」に分けて紙に書く。 分けられなければ、そこが自社の強みか、あるいは手を広げすぎているところです。

二つ目。 分けたうえで、どちらが自社のもので、どちらが借り物かを見る。 借り物の側は、貸した相手の都合で変わります。当社は、つないだその日に止まりました。

三つ目。 社内で使っているAIについて、会話がどこへ送られているかを、使っている人に訊く。 手元で止まっているのか、外に出ているのか。答えが返ってこなければ、そこが出発点です。

⚠️ 規模で変わります。 数人の会社なら、中身も仕組みも社長が決めています。分けて書くだけで、片方を手放す判断ができます。 数十人になると、部門ごとに別のものを借りていることがあります。まず、一覧にするところからです。


今月のモデル

新しいAIが出るたびに、点数が並びます。ですが、点数と、自社の仕事で使えるかどうかは、別です。

今号は、新ネタ無しです。


CoBANTO3-AIチャット

https://www.netkomuten.tokyo/lp/co-banto3-ai

本紙のバックナンバーを記憶し、本紙の読み方(戦略の階層・歴史循環)で、あなたの会社の状況に当てて答えるAIチャットです。記事は「地図」ですが、地図は現地には当たりません。「この号の話、うちの場合はどうなるのか」を訊く場所として用意しました。

ご利用は事前購入のクレジット制です(1,000円から)。月額の契約ではないので、解約の手続きはありません。使った分だけ減り、無くなれば止まります。

読者登録をいただいた方に、無料クレジットを500クレジット追加させていただきました。ぜひ使ってみてください。


ライトノベル「ようこそ、東京ネット工務店へ」

https://www.netkomuten.tokyo/channels/novel-tnk-part2/articles/ch26

小さなIT企業の現場を書いた小説です。毎号1話ずつご紹介します。

今号の話:〈第二部 第26章「一年の終わり、来る時代」〉

旅館三軒が仕上がり、二年目の年末です。打ち上げの席で、社長が翌年の話を始めます。


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