夏編 第8章:報連相の失敗、またしても
僕は既存クライアントの機能追加を担当し
ていた。
「桜井くん、この機能来週リリースね」
白石さんが言った。
「はい」
技術的にはそれほど難しくない。
先週の徹夜のことがまだ体に残っていた。
「聞くことは、恥ではない」。白石さんの言
葉もちゃんと覚えていた。だから、今回はちゃ
んとやろう——そう思っていた、はずだった。
でも、一つだけ気になることがあった。
デザインの仕様が少し曖昧だった。「ボタ
ンの配置は右下」とは書いてあるが、具体的
な位置が明記されていない。確認した方がい
いかな……。
頭では分かっていた。先週あれだけ痛い目
を見たんだから。でも、これくらい大丈夫か。
こんな細かいことでいちいち聞いたら、今度
は「細かいやつ」って思われる。
結局、僕は聞かなかった。自分の判断で右
下の端に配置した。
知っていることと、できることは違う。そ
れを僕はまだ分かっていなかった。
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一週間後、リリース前日。
「桜井くん、デザイン確認してもらった?」
白石さんが聞いた。