秋編 第15章:秋の終わりに ── 成長
の自覚
十一月の終わり。コートが手放せなくなっ
た頃、白石さんが新しいタスクを持ってきた。
「桜井くん、この案件どう進めるか提案して
みて」
「え、提案ですか?」
「うん。もう桜井くんなら自分で考えて進め
られるでしょ」
白石さんは目尻に皺を寄せて笑った。
「任せるよ」
僕は緊張しながらも提案書を作り始めた。
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白紙のドキュメントを開いて、僕はいつも
の癖で技術の話から書こうとして——手が止
まった。違う。そこじゃない。
まずこのクライアントの世界観は何か。本
当の課題はどこにあるのか。次に、誰のため
に、何のために、それを作るのか。長期的に
どんな関係を築きたいのか。そこまで決めて
ようやく、具体的に何を作り、どの順番で進
め、どんな技術で実現するか——。
戦略の階層を一番上から一段ずつ降りてく
る。
気づいたら手が動いていた。入社した頃に
は意味も分からなかった言葉が、今は考える
順序そのものになっていた。いつの間にか身
についてたな。
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翌日、提案書を白石さんに見せた。