第26章 一年の終わり、来る時代
冬が来て、旅館チェーンの三軒がぜんぶ形
になった。
最初の一軒で型を作って、その型を残りの
二軒に展開する。春にそう言った時は正直半
分も回せる気がしなかった。でも、年が暮れ
る頃には三軒とも公開されていた。
どのサイトもテンプレートじゃなかった。
一軒ずつその宿の顔をしていた。ハルカさん
がそれぞれの宿に泊まって、女将さんの人柄
を物語みたいにデザインに落としたから。予
約画面は人数を変えれば、合計もちゃんとつ
いてくる。田中くんが自分の手で何度もつま
ずいて、やっと自分の言葉で説明できるよう
になったコードだった。その裏では佐藤くん
の仕組みが何事もなく、静かに動き続けてい
た。請求が跳ねることももうなかった。
そして、僕はその三人の間を行ったり来た
りしていた。女将さんと話して、デザインの
意図を伝えて、納期を調整して。一年前なら
全部自分で抱えていたことを今は人に預けら
れるようになっていた。
——たぶん、それがいちばん変わったこと
だった。
公開の日、いちばん大きな宿の女将さんか
ら電話が来た。
「これこれ。これがうちなのよ」
一年前、秋に別の女将さんに言われたのと
同じ言葉だった。あの時は僕一人の手柄みた
いな気がしていた。でも、今度のは違った。
四人で掴んだ言葉だった。
その女将さんはもう一つ言ってくれた。
「知り合いの旅館にも紹介していい? あな
たたちみたいなところ、なかなかないから」
——また、増える。
一件を丁寧にやる。それが次の一件を勝手
に呼ぶ。海老沢さんがずっと言っていた累積
戦略が二年目になっても、ちゃんと回ってい
た。むしろ、人が増えた分もっと速く。
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年末の打ち上げ。
会社の近くのいつもの居酒屋。海老沢さん
も、黒田さんも今日はいた。
話の流れで誰かがサマライブの話を始めた。
年末のギルド対抗戦が近かった。
「うちのギルド弱すぎなんすよね」と田中く
ん。「誰か強い人入れたいっす」