第37章 深夜の招集
オフィスに全員が揃ったのは、深夜の一時
前だった。
こんな時間に四人が顔を揃えることはなかっ
た。蛍光灯の白い光の下で、みんな寝起きの
こわばった顔をしていた。誰も軽口を叩かな
かった。田中くんでさえ。
海老沢さんはもう来ていた。白石さんも、
黒田さんもいた。ふだんは古くからのお客さ
んを別の組で回している二人まで、深夜に顔
を出している。会社のいちばん古株が揃って
いた。それだけで事の重さが分かった。
「状況を、話す」海老沢さんは前置きなしに
始めた。
夕方、あるお客さんから連絡が入った。B
ANTO3のAI案内機能を使っている会員
制のサービス会社。そこのエンドユーザー—
—お客さんのお客さん——の一人が、届いた
案内メールに自分じゃない他人の名前と注文
履歴が載っていた、と苦情を入れてきた。
個人情報。別の誰かの。それが別の誰かに、
届いた。
「漏洩だ」海老沢さんは、はっきり言った。
「一件確認できてる。……他にもあるかもし
れない」
オフィスがしんとした。
「で、いちばんまずいのは」海老沢さんは続
けた。「その案内を出したのが——うちのA
Iだってことだ」
僕の背筋が冷たくなった。