第77章 話だけじゃ、分からない
面接はうちのいちばん奥の会議室でやった。
こっち側は、四人。真ん中に、リナさん。
その隣に、北野さん。少し離れて、黒田さん。
僕はいちばん端っこで見ていた。仕切るのは
リナさんだった。僕は口を挟まない。今回、
人を見るのは僕の仕事じゃなかった。書く人
を、書く人が見る。その書く人の代表みたい
な顔で、リナさんは真ん中に座っていた。
最初はふつうにやった。履歴書を見て、志
望動機を聞いて、これまで何をやってきたか
を話してもらう。当たり前の面接だ。リナさ
んも最初から変わったやり方をしていたわけ
じゃない。僕らだって、人を採るのは慣れて
いない。まずはふつうに始めた。
その日のある一人がすごく良かった。
年は四十くらい。前は名前を聞けば、たい
ていの人が知っている大きい会社にいた。そ
こで新しい事業を立ち上げるプロジェクトの
リーダーをしていた、と言った。話がとにか
くうまい。筋が通っていて、聞いていて、気
持ちがいい。人柄も良さそうだ。北野さんの
システムの話をしても、ちゃんと興味を持っ
て、質問を返してくる。相槌の打ち方までこ
なれていた。