2026-09-17/株式会社東京ネット工務店 海老沢敦
① 何が終わったか
GrafTech、メキシコ工場の黒鉛電極生産を全面停止 費用最大2,500万ドル
米GrafTech International Ltd(黒鉛電極メーカー)は2026年8月6日の取締役会で、メキシコ・モンテレイ工場における黒鉛電極およびピン製造事業の全面停止を承認した。8月31日、従業員への通知開始とあわせて米SECに8-K(臨時報告書)のItem 2.05(事業撤退・処分活動に伴う費用)で公表した。同社は操業終了時期を2027年第2四半期初頭としている。想定費用総額は2,000万〜2,500万ドルで、内訳は環境対応・閉鎖関連費用が約1,000万ドル、退職関連費用が約1,150万ドル。8-Kは費用の大半が2027年末までに発生するとしている。
CVD Equipment、装置事業の新規受注を停止 人員は約半減
米CVD Equipment Corporation(半導体製造装置メーカー)は2026年9月3日の取締役会決定を受け、9月10日、CVD equipment事業(成膜装置等)の新規受注を停止すると発表した。米SECへの8-K(Item 2.05)で公表された。既存の受注残の対応、保証義務の履行、スペアパーツ・サービス事業の維持に必要な人員は残すとしている。従業員数を約半数に削減し、構造改革費用0.8百万〜1.0百万ドルを2026年9月30日締め四半期に計上するとしている。費用の大半は退職関連費用。
遠赤エコセラ研究所、特許技術者の死去後に破産手続き開始 負債約1億5000万円
島根県雲南市の株式会社遠赤エコセラ研究所が、2026年9月2日に松江地方裁判所から破産手続開始決定を受けた。独自技術「遠赤エコセラ」を用いた空気清浄機などの製造・販売・レンタルを手掛けていた。負債総額は約1億5000万円。
ニューレイトン、価格競争と円安の重なりで破産申請 負債約20億2000万円
東京都のカー用品(ワイパーブレードなど自動車用品)販売業のニューレイトン株式会社が、2026年9月10日に東京地方裁判所へ破産を申請した。負債総額は約20億2000万円、債権者89名。
米インディアナ州の造園業New Wave Property Service、Chapter 11を申請
米インディアナ州の造園・屋外サービス業者New Wave Property Service, LLC(2000年創業の家族経営)が、2026年9月15日、米インディアナ州南部地区連邦破産裁判所へChapter 11(米連邦破産法11条=事業継続を前提とした更生型の手続き)を申請した。ケース番号26-05984-JMC-11。申請書類によれば、資産は約83万994ドル、負債は約403万〜1,000万ドル(申請書類の開示区分は100万〜1,000万ドル)、債権者は50〜99名。
コマツ、社内システムの設定不備で13万9,302人分の情報が閲覧可能な状態に
コマツは2026年6月16日、社内の利用者管理の仕組みにおける設定上の不備により、氏名・メールアドレス・登録ユーザー種別・一部アクセス日時が、登録ユーザー間で相互に閲覧可能な状態にあったと公表した。対象は13万9,302名分。閲覧可能だった項目は4種(氏名、メールアドレス、登録ユーザー種別、一部のアクセス日時)。
GMOフィナンシャルゲート、通期売上予想を197億3,000万円→220億円に上方修正
GMOフィナンシャルゲートは2026年9月10日、2025年11月13日に公表した2026年9月期(2025年10月1日〜2026年9月30日)の通期連結業績予想を取締役会決議で上方修正した。売上収益は前回予想197億3,000万円から修正後220億円(+11.5%)、営業利益は28億円から29億円(+3.6%)、親会社の所有者に帰属する当期利益は18億7,000万円から19億300万円(+1.8%)。期末配当予想も1株127円(前回予想125円)に修正した。
アシックス、通期売上予想を9,500億円→1兆500億円に上方修正
アシックスは2026年8月14日、2026年2月13日に開示した2026年12月期通期連結業績予想を取締役会決議で上方修正した。売上高は前回予想9,500億円から修正後1兆500億円(+10.5%)、営業利益は1,710億円から1,950億円(+14.0%)、親会社株主に帰属する当期純利益は1,100億円から1,200億円(+9.1%)。中間配当を1株20円(前回予想18円)、期末配当を1株24円(前回予想20円)にそれぞれ増額し、年間配当予想を44円とした。
② 当時、それはどう見えていたか
GrafTechの8-Kは停止の理由を「現在の市場状況に製造能力をより適切に調整するため」とし、「製造稼働率の向上」「コスト構造と資本要件の削減」「より大規模で効率的な施設への生産集約」を挙げている。市況悪化を示す具体的な数値は8-K本文になく、確認できなかった。
CVD Equipmentの8-Kは「戦略的選択肢の包括的な検討」の結果としており、受注減少額や稼働率など事業不振を示す具体的な数値の開示はない。確認できなかった。
遠赤エコセラ研究所について、2025年9月期の売上高は60万円だった。独自技術「遠赤エコセラ」の特許を持つ開発者の小林氏は2025年12月に死去していた。破産手続き開始決定に至る経緯そのものの説明は報道に無く、確認できなかった。
ニューレイトンについて、1998年3月期の売上高は20億771万円だった。その後、価格競争の激化と新型コロナウイルス感染拡大に伴う外出自粛による販売低迷、円安による仕入コスト上昇が重なり、2021年3月期の売上高は11億円余に減少し、赤字に転落していた。
New Wave Property Serviceについて、当時の材料は確認できませんでした。申請書類には負債の内訳として米中小企業庁の災害融資、クレジットカード債務、訴訟関連の請求、公共料金、取引先債務が列挙されているが、申請に至った経緯の説明は報道に無い。
コマツの発表では、2021年頃からこの状態にあった可能性があるとしている。2026年4月23日に社内で発覚し、設定変更のうえ個人情報保護委員会へ報告し、6月16日に公表した。設定した時点でどう判断されていたかの記載はなく、確認できなかった。
GMOフィナンシャルゲートについて、2025年11月13日公表の前回予想は売上収益197億3,000万円・営業利益28億円・当期利益18億7,000万円だった。今回の開示は、修正理由としてSME(中小規模加盟店)領域向け施策による加盟店獲得の進展、大口案件の進捗、決済処理件数・金額が想定を上回ったことを挙げている。
アシックスについて、2026年2月13日公表の前回予想は売上高9,500億円・営業利益1,710億円・当期純利益1,100億円だった。今回の開示は、修正理由として第2四半期累計の業績、下期の需要見込みに加え、想定為替レートの見直し(USD想定150円→160円、EUR想定170円→180円など)を挙げている。
③ 構造として残るもの
独自の技術やノウハウが、それを実際に動かせる特定の一人に紐づく体制では、その人物が離脱すると(死去に限らず、異動や独立でも同様に)、技術そのものは帳簿や特許として残っても、事業を動かせる人がいなくなる。
数人の会社では、経営者自身がその「動かせる一人」であることが多く、事業の存続そのものが本人に依存している。数十人になると、業務ごとに担当者は決まっているが、その担当が抜けたときの代わりがいないという形で、同じ構造が部門単位に残る。
自社の主力の技術・商品・取引先対応が、特定の誰か一人にしか動かせない状態になっていないかは、その人が1週間いなかったら何が止まるかを訊けば確かめられる。