IPA(情報処理推進機構)の「DX動向2026」によると、AIを導入している会社は、従業員100人以下で16.6%、1,001人以上で78.3%でした。AIの導入と運用の課題では、「専門人材が不足している」が最も多く挙がっています。中小企業基盤整備機構の調査では、中小企業がDXとして取り組んでいることの1位が、文書の電子化でした。
① 事実
本紙は、公的機関の調査を二つ読みました。IPAの「DX動向2026」は、日本企業1,799社にDXとAIの取組を訊いています。中小企業基盤整備機構(中小機構)の「中小企業のDX推進に関する調査」は、中小企業1,000社に、DXで何をして、何が成果になり、何に困っているかを訊いています。
IPAの調査では、AIを導入している会社は、100人以下で16.6%でした
IPAは経済産業省が所管する独立行政法人で、「DX動向2026」を7月30日に公開しました。調査は2026年4月中旬から6月中旬に行われています。
AIの導入状況を従業員の規模で分けると、規模が大きいほど導入が進んでいます。
100人以下の会社では、「関心はあるがまだ特に予定はない」が34.6%、「今後も取組む予定はない」が28.5%でした。DXに取り組んでいる会社は、1,001人以上で98.7%、100人以下で41.6%です。IPAはこれを「企業規模により二極化している状況が続いている」と書いています。
AIの導入と運用の課題は、「専門人材が不足している」が50.1%で最も多くなっています
IPAが、AIを導入・試験利用・検討している会社などに課題を訊くと、「専門人材が不足している」が50.1%で最も多くなりました。次いで「生成AIの効果やリスクに関する理解が不足している」が45.8%、「適切な利用を管理するためのルールや基準の作成が難しい」が39.7%です。
AIに関わる人材ごとの充足状況も訊いています。<strong>「現場の知見と基礎的AI知識を持ち、自社へのAI導入を推進できる従業員」が不足している会社は69.6%</strong>でした。「AIを活用したソフトウェアやシステムを実装できるAI開発者」は、不足が49.9%、「自社には必要ない」が40.7%です。
DXに取り組んでいない会社に理由を訊くと、100人以下では「自社がDXに取組むメリットがわからない」が54.0%で最も多くなりました。101人以上300人以下では、「DXを現場で推進、実行する人材が不足している」が66.1%、「DXの戦略立案や統括を行う人材が不足している」が62.5%です。
中小機構の調査では、中小企業のDXの1位は、文書の電子化でした
中小機構の調査は、2025年12月に、全国の中小企業の経営者と経営幹部1,000社に行われました。回答した会社の34.1%は、従業員5人以下です。
DXに取り組んでいる、または検討している会社は39.1%でした。従業員20人以下では21.3%、101人以上では68.0%です。20人以下では、「取組む予定はない」が47.5%でした。
取り組んでいる・検討している391社に、具体的な中身を訊いています。
- 文書の電子化・ペーパレス化:55.8%
- 営業活動・会議のオンライン化:37.1%
- ホームページの作成:34.0%
- クラウドサービスの活用:32.5%
- AIの活用:28.4%(前回の調査は14.3%)
- デジタル人材の採用・育成:15.6%
DXに取り組んだ中小企業の78.3%が、成果が出ていると答えています
すでに取り組んでいる189社のうち、78.3%が「成果が出ている」「ある程度成果が出ている」と答えました。成果の中身は、「業務の自動化、効率化」が52.0%、「コストの削減、生産性の向上」が43.9%です。
自由記述には、「残業ゼロを達成した」「販売管理と会計を連携させたことで、月次決算に要する時間が2週間程度短縮できた」「Power Automate Desktop(パソコンの操作を自動にするマイクロソフトの道具)の利用で30分の作業が5分以下で行えるようになった」などが並んでいます。
中小企業がDXで困っていることの1位は、「ITに関わる人材が足りない」でした
1,000社全体では、「ITに関わる人材が足りない」が28.3%で最も多く、「予算の確保が難しい」26.0%、「DX推進に関わる人材が足りない」25.6%が続きます。
従業員21人以上では、「ITに関わる人材が足りない」が36.4%、「DX推進に関わる人材が足りない」が34.7%で、人材の二つが上位を占めています。20人以下では、「予算の確保が難しい」が28.1%、「具体的な効果や成果が見えない」が22.5%、「何から始めてよいかわからない」が20.9%でした。
② 構造
二つの調査は、AIやデジタルで人手を減らせた会社と、その手前にいる会社に分かれていることを示しています。手前で止めているものとして、どちらの調査でも人材の不足が上位に出ています。本紙は、人手の不足と人材の不足を分けて読みます。
DXに取り組んだ中小企業の成果は、人手の側に出ています
中小機構の調査で、成果の1位は「業務の自動化、効率化」でした。残業ゼロ、月次決算の短縮、30分の作業が5分になったという記述は、どれも人の手間が減った話です。デジタルにした会社は、人手の不足を埋める方向で成果を出していると読めます。
人手を減らす手前で止めているのは、人材だと読めます
AIの課題の1位は専門人材の不足で、不足が最も多いのは「自社へのAI導入を推進できる従業員」でした。中小企業でも、21人以上では、困っていることの上位二つがITの人材とDX推進の人材です。
本紙Vol.80では、帝国データバンクの人手不足の調査から、千葉県のソフト受託開発の会社の声を引きました。「ソフトウェアのコード生成をAIに置き換えることで単純な作業者需要は減ったが、AIの生成したコードを正しくシステムとして安定運用していくための設計を担う人材の需要が増えている」。AIで人手の需要が減り、人材の需要が増えたという答えです。
一番小さい会社は、人材の不足を挙げる手前にいます
100人以下の会社がDXに取り組まない理由の1位は「メリットがわからない」で、20人以下の中小企業は「効果や成果が見えない」「何から始めてよいかわからない」を挙げています。人材の不足を課題に挙げるのは、何をするかが見えてからだと読めます。
③ 自分事
当社のお客さんでは、AIは人手不足にも人材不足にも、直接は当たっていません
当社のお客さんでは、AIの使われ方は二つのどちらかです。
一つは、AIがあってできるようになったことを新しく始めていることです。もう一つは、AIを当社がシステムの中や開発で使っていて、お客さん自身は意識していないことです。どちらも、人手不足を埋めるためにAIを入れた形にはなっていません。
海老沢が2000年ごろに勤めていた会社は、法律で残す書類のほかは、紙をやめていました
私が当時勤めていた会社では、法律で残さなければならないもの以外はペーパーレスになり、在庫、仕入、販売のデータはオンラインになっていました。2000年には、ほぼそうなっていました。あとから大手のSIer(企業のシステムの開発を請け負う会社)から転職してきた人も、驚いていました。
システムは、全部自社で開発していました。エンジニアは数人で、仕組みを考えて作ったのは創業社長です。ひとりの天才級の人材がいると、会社はここまで変わると私は見ています。
進んでいるところは、とことん進んでいました。手をつけていなかった会社は、四半世紀たっても止まっていると私は見ています。中小企業がDXとして取り組んでいることの1位は、文書の電子化です。書類が紙のままの会社には、AIを入れて人手の代わりにさせる場所が、まだありません。
海老沢は、AIで人手不足を埋めるには、先に人材の不足を埋める必要があると見ています
AIで人手不足を埋めるには、AIを使い、AIで開発できる人材の不足を先に埋めないと、埋まらないと私は見ています。順番は、人材が先で、人手が後です。
人材の不足は、海老沢がAIを使って関わることで、埋めているのかもしれません
当社のお客さんの社内に、AIで開発する人材はいません。その役は、私がAIを使って関わることで、ある意味で埋めているのかもしれません。2000年ごろの会社で創業社長が担っていた役を、いまはAIを使う外の人間が担える、ということでもあります。
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消費は、<strong>基本料金と、答えの長さ(100字ごとに1クレジット)</strong>で決まります。短い答えなら少なく、長い答えほど多くかかります。モデルによって、1,000円で120〜200往復ほど使えます。
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ライトノベル「ようこそ、東京ネット工務店へ」
海老沢が執筆している、IT業界のお仕事小説です。毎号1話ずつご紹介します。
〈第三部 第61章「二十年」〉
夜九時の会議室で、リナは、官報のコピーと付箋だらけのファイルに一人で向かう戸田と出くわします。来年の改定の確認です。一つ読み落とせば、返戻で数百万円が飛ぶ作業です。
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小説を書いている理由
この小説は、もともと、社内の教育のために書き始めました。うちの会社——東京ネット工務店で、新しく入った人間に、この仕事の考え方を伝えるための、いわば教材でした。戦略の階層とか、取捨選択とか、口で言っても、なかなか伝わりません。だったら、物語にして読んでもらったほうが早い。そう思って、書き始めました。
ところが、いろいろあって、その教材が、要らなくなってしまいました。理由は、いろいろあります。ここには、書ききれません。ただ、宙に浮いてしまった原稿を、捨てるのも惜しくて、何度も書き直しながら、今度は、教材ではなく、ただ読んで面白い、お仕事小説として、作り直していきました。
https://www.netkomuten.tokyo/channels/atogaki/articles/atogaki-1
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